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【 「食」が代替医療の中核に〜分野別米国健康食品市況 】

日本には古くから“医食同源”という言葉があるが、アメリカでも最近やっとその言葉の意味が理解されてきたようだ。代替療法が医のメインストリームに食い込むようになってからかなり経つ。近頃では、その中でも特に「食」による治療法や予防法へと消費者の関心が移っている。

“がんと食”テーマで、野菜・果物、大豆、紅茶、葉酸など挙がる

最近のFunctional Foodwireに掲載された記事によると、2001年中に発表されたニュートリション研究トピックは180種あるが、そのトップの座を得たのが“心臓の健康”に関するテーマで34件、それに続いたのが24件の“がんと食”だった。 どちらの場合も関連する食品や食品成分をテーマに取り上げたものばかりで、“心臓の健康”で最も多かった食品は野菜・果物、ビタミンC、E、紅茶がそれに続く。

また、がんとの関わりでは、同じく野菜・果物がトップ、そして大豆、紅茶、葉酸と続いた。糖尿病もニュートリション研究では重要なテーマだが、こちらは取り上げられた研究の数ではなく、関連する食品の幅の広さでトップに立った。糖尿病 と関連してテーマとなった食品としては、大豆、オリーブオイル、ミルク、トラス脂肪酸、赤ワイン、野菜、ビタミンD、抗酸化剤系ビタミンなど。

栄養素では「葉酸」研究がトップ

また栄養素では、葉酸が14件でトップ。関連する健康問題には、ホモシステイン濃度、乳がん、記憶と認識力、胎児の発達、流産、そしてがん、心臓病などがあった。また、植物性ステロールやスタノールも心臓の健康分野でかなり取り上げられたテーマである。

さらに関心を集めたのが、バイオテクノロジーや遺伝子組み替え食品。遺伝子操作に関しては市場内や消費者の反発が多く、今後も論議の的となることは当然として予測される。バイオテクノロジー分野では、将来的に健康を促進する化学物質に関心が集まり、未精白穀類や大豆、トマト、フルーツジュースなどが引き続きテーマに選ばれることが多いと見られる。

“腸内健康”に高い関心

また、心臓病やがんといった疾患に続いて関心が高い健康問題の一つに“腸内健康”が挙がっている。それに伴って腸の健康を促進する食品や食品成分に注目が集まった。

ヨーロッパ、アメリカ、日本、オーストラリアを中心にヨーグルトなど腸の健康を謳う食品市場が成長を見せ、35億ドルの売上が予測されており2005年までに43億5千万ドルが見込まれる。これはひとえに、腸内菌の研究が進み、その応用で生命を脅かす腸疾患発生の危険性低下が現実味を帯びてきたことが理由となっている。

また、食品技術も進んで、腸の健康を支援する食品の範囲がヨーグルトなどの乳製品からベーカリーなどの分野へと広がったこともある。

関節炎緩和市場が急成長、170億ドル規模に

進む高齢化社会で、老化に関する健康問題は常に中心の位置にある。特に関節の痛みや関節炎緩和に繋がるサプリメント市場が急成長を見せている。FunctionalFoodwireが伝えたところによると、既に170億ドルの規模に膨れ上がり、ヘルスケア製品市場全体の9%を占めるに至った。

2000年調べでは、グルコサミン、MSMなどが売れ筋となり前年比24%増を示した。ヘルスケア製品分野での成長注目株としては、医薬品・処方箋薬、スポーツ/エネルギー/ダイエット製品に続いて3番目である。

関節の健康に続いて注目を浴びるのが、ビタミンCやエキナセアが相変わらずの人気を誇っている風邪・インフルエンザ/免疫増強関連分野。以上の分野を総合すると、サプリメント産業売り上げ全体の64%を占めるという強さである。

心臓病の危険性を低下ラベルで「豆乳」が大躍進

スポーツニュートリションやダイエット分野は、2001年で99億ドルを売上げ前年比15%増と人気は安定している。内訳をみると、エネルギー増強ドリンクを含むダイエタリーサプリメントが287万1千ドル、代用食が207万9千ドル、スポーツサプリメント188万1千ドル、ダイエットサプリメント178万2千ドル、そしてニュートリションバーが128万7千ドルとなっている。

また大豆関連で成長を見せているのが豆乳。大豆関連食品市場の膨張は目を見張るほどだが、中でもかつて味や舌触りの悪さでアメリカ人の嗜好に食い込むのは無理と言われた豆乳が奮闘している。ワシントン・ポスト紙が伝えたところによると、豆乳売上は1980年の150億ドルから2001年では5億5千万ドルと大躍進。この成長は、1999年米食品医薬品局(FDA)が、大豆プロテインを1回分6.25g含む大豆製品には心臓病の危険性を低下するというラベル表示を認めたことが大きく影響している。

ベビーブーマーの高齢化で、栄養強化食品に高い需要

“食と健康”に関し、今後も益々伸びることが予測され分野に“Functional Foods”“Fortified Foods”などと呼ばれ、栄養素を強化した機能性食品がある。Functional Foodwireが伝えたところによると、機能性食品の総売上(2001年)は180億ドルに達し、1997年の実に3倍を示した。この成長は今後も続き、2006年までには286億ドル売り上げるものと見込まれている。

また、Mintel International Groupが調べ発表した“The U.S. Functional Food Market”によると、この分野で関心を持たれる背景にはベビーブーマーの高齢化があるが、中でも女性をターゲットにしている製造企業は多い。また、製造業者は製品を市場に送り出すばかりではなく、消費者への情報提供など指導に力を入れるよう要求される。

オーガニック食品市場、今後20〜25%の成長が予測

機能性食品として充実している製品群はコーンフレークやパン類など。コーンフレークは、FDAがラベル表示の認可をしてから力を入れており、機能性食品としては歴史がある。1999年から売上を14%伸ばし2001年には7億2千800万ドルを計上している。その他、スナック・菓子類は1999年の売上を2倍伸ばし2001年は2億5千900万ドル。さらに、マーガリン状スプレッドやヨーグルトなどは9千600万ドルを売り上げた。

また、自然食品、オーガニック食品市場も相変わらずの強さを見せつけている。Adams, Harkness & Hill(AH&H)が行った報告では、同市場は150億ドルを示し、ここ数年で2桁成長となっている。今後、ベビーブーマーの高齢化や食や健康に関する理解が進むことで、オーガニック市場の伸びは止まらず20〜25%の成長率を示しつづけていくだろうと予測されている。

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