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【 サプリメントVS医薬品の相互(弊害)作用とは〜@ミネラル編 】

1990年代後半より米国で代替医療がブームになり、とくにサプリメント、ハーブ による栄養療法と西洋正当派医療による薬剤とを併用する患者が増えてきた。 しかしながら、それらの相互(弊害)作用についての検証は十分に行われている わけではなかった。そのため、米国で売れ筋のセント・ジョンズワートやイチョ ウ葉、ガーリックといったハーブが次々と徹底検証され、中間報告が出された。 米国における代替医療の推進はもはや国策ともいえるもので、今後もサプリメン トと医薬品との相互作用の検証は徹底して押し進められそうだ。今回、とくに ミネラル摂取に関して米国でこれまでに報告されているミネラル同士の、また ミネラルと医薬品との併用による弊害を報告する。

▼マグネシウム

心臓病予防や骨を強化する効果があるといわれているマグネシウム。骨を強く するサプリメントといえばまず思い浮かぶのがカルシウムだが、せっかくカル シウムを摂っても、マグネシウムが不足すれば骨にはならない。また、マグネ シウムはインスリンの分泌を促すことから、糖尿病の人には非常に重要なミネ ラルでもある。

不足すると疲労、短気、虚弱体質、筋肉のけいれん、不整脈、頻脈、動悸、 低血糖、骨粗しょう症、ぜんそく、偏頭痛、貧血、月経前症候群、高血圧など の症状が出るといわれている。

ちなみに、米国では1日の推奨摂取量は、男性の場合、19歳から30歳まで が400mg、31歳以上が420mg、女性の場合、19歳から30歳までが 310mg、31歳以上が320mgとなっている。
マグネシウムで報告されている弊害は以下の通り。

□多量の亜鉛サプリメント服用はマグネシウムの吸収を妨げる。健康な成人  男性が1日に142mgの亜鉛を摂った際、マグネシウムの吸収が大幅に落  ちたという。
□マグネシウムを過剰に摂取すると副作用として下痢が起こりやすくなる。
□心臓病の薬digoxin 、抗生物質nitrofurantoinとの併用は、医薬品の効  果を妨げる。
□骨粗しょう症の治療に使うBisphosphonatesの効き目にも弊害を及ぼす  可能性がある。弊害を避けるためには、薬とマグネシウムを摂る間隔を2  時間あけること。
□精神沈静剤 chlorpromazineとの併用は薬の効き目を低下させる。

▼セレン

最強の抗酸化力をもつ必須ミネラル、セレン。体内で自然発生する活性酸素が 老化やガンの誘因であることはいまや常識だ。セレンは、この体内の酸化を防 ぐという重要な役割を果たしているほか、免疫力を高め、毒物を分解するといっ た働きもある。また、がんだけでなく、心筋梗塞、リウマチ、アルツハイマー 病の患者、HIV感染者への有効性も明らかになっている。セレン不足の症状は、 疲労感、肝臓の病気、動脈硬化、心臓病、肺がん、大腸がん、乳がん、ウイルス に感染しやすくなるなど。 米国での1日の推奨摂取量は、19歳以上の男女ともに55mcg。
セレンと医薬品の弊害はまだあまり明らかになっていない。これまでに報告さ れたものは以下の通り。

□抗痙攣薬のバルプロ酸と併用すると、プラズマ・セレン・レベルが低下する。
□セレンを過剰に摂取すると中毒症を起こす危険がある。

▼鉄

鉄が不足するとめまいや貧血、思考力の低下、頭痛、睡眠障害といった症状が 出てくる。鉄摂取のメリットとして、貧血を防ぐことはもとより、ストレスや 病気に対する抵抗力を高めるほか、体力を増強する、女性ホルモン分泌機能を 高めるなどが挙げられている。 米国での1日の推奨摂取量は、男性の場合、19歳から50歳までが8mg、 51歳以上も同じ8mg。女性の場合、前者が18mg、後者が8mg。ほかのサプ リメントや医薬品との併用障害は次の通り。

□空腹時に、多量の鉄サプリメントと亜鉛を併用すると、亜鉛の吸収を妨げる。  しかし、食事中に服用すれば吸収への影響はない。また鉄分補助食品と亜鉛  サプリメントの併用も問題がない。
□antacids などの胃の酸化を抑える薬との併用は、鉄の吸収を妨げる。
□医薬品「levodopa」「levothyroxine」「methyldopa」「penicillamine」  「quinolones」「tetracyclines」「bisphosphonates」との併用は、  医薬品の効用を妨げる。サプリメントと医薬品の服用する間隔を2時間あけ  れば弊害は避けられる。
□通風の治療薬「allopurinol」は肝臓に蓄えられる鉄の量を増やすことから、  過剰蓄積を防ぐため、薬と鉄サプリメントの併用は避けるべき。鉄が過剰に  蓄積されると肝臓障害をもたらす。
□鉄の過剰摂取は活性酸素を増やし、肝臓障害、糖尿病、がんを誘発する。

▼カルシウム

骨の形成と維持に欠かせないカルシウム。骨折、骨粗しょう症、子供の多動症、 ストレス、アレルギー、高血圧、心臓病の症状改善または予防とその働きは幅広 い。カルシウム不足は、イライラ、不眠、腰痛などの症状を引き起こすほか、 高血圧、動脈硬化、糖尿病、老人性痴呆などの誘因ともいわれている。 米国で1日に必要な摂取量は男女ともに19歳から50歳までが1000mg、 51歳以上が1200mg。弊害は以下の通り。

□ナトリウムの摂取が増えると、尿と一緒にカルシウムが排出される量が増える。
□プロテインの摂取が増えても、尿と一緒にカルシウムが排出される量が増える。  ほかの国に比べ、アメリカのカルシウム摂取目標が高いのは、アメリカ人のプ  ロテイン摂取が非常に多いため。
□強心剤を飲んでいる人がカルシウムを過剰に摂取すると、心臓のリズムに異常  をきたす危険がある。
□心臓病および高血圧の薬との併用は医薬品の働きを低下させる恐れがある。
□骨のパジェット病の治療薬と併用すると、薬の働きを低下させる恐れがある。
□鉄と併用した場合、鉄の吸収を妨げる。
□最近の研究で、カルシウムの多量摂取が亜鉛の吸収を妨げることが報告されて  いる。

▼亜鉛

生命活動に欠かせない亜鉛。近年、その多彩な働きぶりが注目されている。ざっ と挙げただけでも、活性酸素の無毒化、ホルモンの合成・分泌、皮膚の健康維持、 免疫や生殖機能の強化、精神安定、老化防止、子供の成長促進、糖尿病の改善、 視力維持、アルツハイマーの症状改善とずらり。逆に不足すれば、免疫力が低下 する、傷の治りが遅くなる、性機能が働かない、鬱になったり眠れないといった 精神不安定に、ホルモン生成も下がり、胎児や育児の成長が遅れるなどさまざま な障害が出てくる。米国での1日の推奨摂取量は、19歳以上の成人で、男性11mg、 女性8mg。ミネラルのうちでも最も毒性が低いといわえる亜鉛の弊害は以下の通り。

□鉄サプリメントとの併用は亜鉛の吸収を妨げる可能性がある。 
□「tetracyclines」「 fluoroquinolones」など一部の抗生物質との併用は、  抗生物質の利き目を低下させる可能性がある。
□推奨摂取量を上回る亜鉛を取り続けても短期間なら問題はないが、長期となる  と銅の吸収を妨げ、銅欠乏性の貧血を招く可能性があると報告されている。 

▼カリウム

カリウムは体内に存在する必須ミネラルで、その98%近くが細胞内にある。 筋肉の縮小に関係する酵素の働きを調節するほか、抹消血管を拡張して血圧を 下げる、神経伝達に欠かせない、体液の正常なバランスを維持する役割が指摘 されている。カリウム不足は、神経反射の低下、貧血、低カリウム血症(不整 脈、心臓のリズムに異常、筋力低下など)、腎臓障害などの症状を引き起こす 危険性大。
米国での1日に最低必要な摂取量は男女とも18歳以上の成人で、2000mg。 弊害は以下の通り。 

□腎臓病、またカリウムを蓄積する薬をのんでいるときに、カリウムサプリメ  ントを服用すると、高カリウム血症を招く危険がある。

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