○毎年「国民栄養調査結果」の発表時に、”塩分の摂り過ぎ”が指摘
私たちの食卓に欠かせない塩。調味はもちろん、漬物の保存料など幅広く活躍しています。しかしその一方で、とかく健康を害するものといわれがちです。高血圧をはじめとする生活習慣病の要因にも挙げられています。
厚生労働省による「国民栄養調査」の発表時にも、毎年”塩分の摂り過ぎ”が指摘されています。平成12年度の調査では、「食事を選択する際に気を付けているもの」で、40代以上の全ての年代のトップ3に「塩分」が入っています。
常に“摂り過ぎに注意”といわれ続けている塩ですが、大事なのは生体の恒常性維持に必要なミネラルを含む良質な塩の適度な補給で、逆にこれが行われないと、体の諸機能が支障をきたすことになります。
○細胞の浸透圧を調整し、生体の諸機能を正常化
涙や汗がしょっぱいのは、体内に存在する塩分のためですが、では、それは一体どれくらいの量なのでしょうか。――人間の体の約70%は水分です。そのうち3分の2は細胞の中にある細胞液で、3分の1が血液や胃液などの細胞外液です。塩はこの細胞外液の中に0.9%の割合で溶け込んでいます。つまり、体重50kgの人の場合、35kgが水分で、そのうち約11.6kgが細胞外体液で、塩分は104gも含まれることになります。
この塩分含有のバランスが崩れた時、一つひとつの細胞に異常が生じます。それぞれの細胞は通常、細胞液と細胞外液との間の圧力、いわゆる浸透圧が、塩分濃度により均等に保たれています。細胞外液の塩分濃度が濃くなると、細胞内の水分が外側から吸収され、細胞内の水分が奪われていきます。
そうなると、細胞本来の正常な働きができなくなります。逆に細胞外液の塩分濃度が薄くなると、今度は細胞内に多くの水分が取り込まれ、やはり正常に機能しなくなります。細胞が正常に働くためには、浸透圧が正常に保たれていることが不可欠なのです。この浸透圧の調整を行っているのが塩分なのです。
○脳からの指令をナトリウムが伝達
また、私たちの体は、脳からの指令が筋肉に伝わり、筋肉が収縮を起こすことで、体の各部位が動きます。このメカニズムにも塩が重要な役割を果たしています。
塩は主にナトリウムとカリウムから成りますが、ナトリウムが筋肉の細胞内を出入りすることで筋肉の収縮と弛緩が行われます。ですから、筋肉を脳の指令どおり動かすには、ナトリウムが必要で、そのためにも塩分補給が不可欠といえます。