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ストレスで腸内環境が劣悪化、老化を加速
腸内細菌研究の第一人者、光岡知足氏が講演

5月18日(日)、東京国際フォーラムで、「米ケフィラン」セミナーが開催された。当日、光岡知足氏(東大名誉教授)らが、腸内の有用菌を増やし、腸内環境を整えることの重要性を説いた。

便臭や加齢臭、腸内の悪玉菌が関与

ヒトの腸内には100兆、100種におよぶ細菌が棲息するといわれる。近年、腸内環境と健康・長寿との関連が疫学調査などで明らかになっている。光岡氏は、日本で初めて、腸内に棲む細菌を善玉・悪玉に分類し、それらが健康におよぼす影響を提唱。腸内細菌研究の第一人者として世界的に知られる。

ビフィズス菌や乳酸桿菌など善玉菌は健康に有益だが、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌は健康に悪影響をおよぼす。また、腸内には身体の状態により善玉にも悪玉にも加担する日和見菌も棲息する。

「腸内細菌の研究は今から50年ほど前に始まった。赤ちゃんにはビフィズス菌が多いが、有用菌は、老化や肉食やストレスや薬物、感染などで減少する。善玉菌を多くし、悪玉菌を少なくすることが大切。有害菌が腸内に増えると腐敗産物が多く出来る」と光岡氏。腸内細菌叢の構成は、ヒトの老化や発がん、免疫、感染、健康維持などに多大な影響を与える。腸内を有用菌優勢の状態にすると、腐敗菌など有害菌の増殖が抑えられ、疾病予防につながるという。

例えば、肉食では、「肉食で悪玉のウェルシュ菌が増えると腸内に腐敗物質が作られ、免疫が低下する。加齢とともに便臭が臭くなるのはウエルッシュ菌が増え、腸内環境が悪くなるため。腸内環境を整えることが重要だということが、今から30年くらい前にわかってきた」(光岡氏)。腸内有害菌によりアンモニア、硫化水素、アミン、インドールなどの腐敗産物が生成され、肝臓や腎臓、膵臓などの各種臓器に障害を与え、肝臓障害や発がん、動脈硬化など疾患発症へとつながる可能性が高いという。

ストレスや疲労で善玉菌が減少

また近年、健康への影響が懸念されているのが現代人の抱えるストレス。鬱症人口も急増している。こうしたストレスは、腸内環境へも悪影響をおよぼす。「若い人でもストレスや疲労で善玉菌が減る。腸内に悪玉菌が増え、老人と同じような腸内環境になる」と光岡氏は指摘する。また、便秘も腸内環境の劣悪化を招く原因となるため要注意という。

現代人の腸内環境の悪化は、「食」ばかりでなく、ストレスでも加速している。体質弱体化や老化の防止、さらには疾患予防のためにも、腸内細菌叢を善玉菌優位に保ち、腸内環境を整えることが、必須となる。

腸内に有用菌を増やす飲料としては発酵乳が知られる。長寿地域として知られる東欧のコーカサス地方では、伝統的に発酵乳ケフィア(ケフィール)を多飲している。日本では、大和薬品鰍ェ、日本人の主食の「米」を培地に、LK乳酸菌(L.kefiranofaciens)を用い、独自の技術でケフィランを高濃度に含む「米ケフィラン」の量産体制を確立。一般食品や機能性食品の原料素材として供給している。

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