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女性の大腸がん、予防のための有用成分最新報告
未精白穀類の食物繊維やマグネシウム、ビタミンDが有用

現在、 国民の3人に1人ががんで死亡するといわれる。 がん罹患では、男性が肺がん、女性では大腸がんがトップ。肺がんについては喫煙が主原因とされ、予防としてまず禁煙が薦められている。一方、大腸がんについては動物性食主体の欧米型食生活が一因とされている。大腸がん予防についての最近の研究では、未精白穀類の食物繊維やマグネシウム、ビタミンDの有用性が報告されている。

平成21年、悪性新生物(がん)で34万4000人が死亡

「平成21年人口動態統計」によると、平成21年の死亡数は114万4000人で、前年より2000人増加。死亡原因のトップは悪性新生物(がん)で34万4000人。以下、心疾患17万9000人、脳血管疾患12万1000人と続く。

昭和56年以降、日本では脳卒中を抜き、悪性新生物(がん)が死亡原因の第1位になる。現在、3人に1人ががんで死亡している。

がん罹患については、男性では肺がんがトップで、平成5年以降、胃がんを抜き第1位に。女性では、平成15年以降、大腸がんが胃がんを抜き第1位になる。とくに40歳代から加齢とともにがんの罹患率が高くなっている。

食物繊維、大腸での発がん物質の接触時間を短くする

食の欧米化で、女性についてはとくに大腸がん罹患が増加。原因として、肉など動物性食品の多食の他、食物繊維の摂取不足が指摘されている。

食物繊維は大腸での発がん物質の接触時間を短くし、さらに腸内の有用菌を増やすことで大腸がんの防止や免疫機能の向上が期待できるとされている。

米国の38歳から63歳の女性7万6千402人を対象にしたNurses'Health Studyを分析した研究で、赤身の肉、脂肪、精製された穀物を主体とした食生活を送るグループは、果物や野菜、魚、未精白穀物中心の食生活グループと比べ、結腸がんに罹る危険性が46%高いことが判ったという報告もある。

米国では、植物繊維を多く含む食品ががんばかりか、肥満や高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の予防に奏功するとし、「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」(米国保健社会福祉局)に、「果物・野菜・全穀物の摂取奨励」を掲げている。

ちなみに、食生活で全穀物の摂食を推奨を明言したのは、2005年度のガイドラインが初めて。カロリーの過剰摂取を避け、脂肪分を抑え、植物繊維や体に良い栄養素を豊富に含む果物、野菜、全穀物の摂取量を増やすことを推奨した。 

未精白穀類、マグネシウムなどの必須ミネラルが大腸がん予防に有用

未精白穀類については、食物繊維だけでなくマグネシウムのような必須ミネラルも豊富に含まれる。Journal of Nutrition誌10/3月号では、マグネシウムは男性の大腸がん予防に有用であるという研究内容を報じている。

Japan's National Cancer Center研究者グループによるもので、平均年齢57歳の87,117例を対象に食品頻度調査により、8年間にわたってマグネシウムの摂取を調べた。平均摂取量は男性が284mg/日、女性は279mg/日だった。分析の結果、男性で平均最多摂取群(327mg/日以上)では最少群(238mg/日未満)に比べ、大腸癌リスクは52%減少していることが分ったという。

また、ビタミンDが大腸がん予防に有用であることが、British Medical Journal誌10/2月号に掲載されている。 ヨーロッパの各国研究者グループが、European Prospective Investigation into Cancer Study(EPIC)に西ヨーロッパ10カ国から参加した52万例以上のデータを分析。

対象期間中、大腸がんの診断を受けた1,248例に健常被験者1,248例を比較。被験者の血中ビタミン濃度、食習慣聞き取り調査結果などから、ビタミンD濃度の上昇により大腸がんリスクが40%低下することが分ったという。

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