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健康食品の体験談、求められるエビデンス(根拠)
〜消費者庁、体験談の「打ち消し表示」の明瞭化要求

2017年10月4日(水)〜6日(金)、東京ビッグサイトで、「食品開発展2017」が開催された。同展示会セミナーで、富士経済が健康食品市場について今後の市場予測など行った。

知名度上位は、コラーゲン、ポリフェノール

富士経済が消費者1万人に対し機能性素材の知名度についてアンケートを行った。その結果、20位までが以下のような順になったという。

コラーゲン、ポリフェノール、ローヤルゼリー、ヒアルロン酸、グルコサミン、プロテイン、大豆イソフラボン、ウコン、カテキン、セサミン、DHA、酵素、リコピン、コエンザイムQ10、コンドロイチン、酵母、エゴマ油、マカ、オルニチン、ユーグレナ。

コラーゲンにローヤルゼリー、グルコサミンにコンドロイチン、プロテインといった皮膚・軟骨組織の健康維持に貢献する素材は、超高齢化社会の到来とともに、今後もニーズが高まることが予測される。

また、ポリフェノールやDHAといった素材は、今後増加が懸念される認知症患者の予防の定番素材として位置付けられるであろう。

2015年に団塊の世代が65歳以上になった。この世代は、2025年には75歳になり、高齢者人口は3500万人となる。つまり、3人に一人が65歳以上になる。

がんや糖尿病などの生活習慣病の増加も深刻で、それらの対応素材も当然ニーズは高まると予想される。

整腸や免疫系素材、今後さらに伸び

富士経済では今後の健食市場における機能性素材の伸びを次のように予測している。

今後5年で市場の伸張が期待される素材としては、疲労回復で知られる「イミダゾールペプチド」や血糖値の上昇抑制作用の「サラシア」。

「コラーゲン」や「ヒアルロン酸」などの美容素材、「ビルベリー」や「アスタキサンチン」などのアイケア対策素材が引き続き伸びるであろう。

また、高齢者のロコモや関節対策で、「グルコサミン」や「コンドロイチン」が105〜120%程度伸びが予測。

脳機能対策で、「イチョウ葉エキス」や「ホスファチジルセリン」がさらに成長しそうだ。

生活習慣病対策で「DHA」や「EPA」、疲労回復対策で「イミダゾールペプチド」や「アルギニン」などが120〜130%の成長が見込める。

また、整腸・免疫系の「ラクトフェリン」や「機能性乳酸菌」、睡眠・ストレス対策の「ギャバ」や「テアニン」なども130%以上伸びるものと予測される。

市場の伸張が予測される素材のキーワードは「植物由来」や「ホールフード」であろう、という。

体験談の「打ち消し表示」で、求められるエビデンス

また、同展示会セミナーで、丸の内ソレイユ法律事務所が美容や健康商材の表示・広告等に関する広告規制の最新状況を解説した。

食品表示においてとくに留意すべきは景表法と薬機法で、これらの違反は、社会的・金銭的リスクが非常に高い。

景表法は薬機法に比べ、法執行が圧倒的に多い。景表法違反については、主に、商品の品質が実際のものより良いと表記することによる「優良誤認」である。

景表法違反の疑いで行政指導が入ると、大量の書類の提出を要求される。当局の指導・警告から始まり、その後措置命令となるため、まず最初の対応に留意することが大切。

薬機法違反については、機能性表示食品では、「許可された範囲を逸脱していないか」という点。これを、消費者庁がチェックする。

ちなみに、広告における個人の体験談掲載で、よくあるのが「個人の体験談です」という但し書きの「打ち消し表示」。

これについて、今年7月、消費者庁は「打ち消し表示をする場合は、被験者の数、効能が得られた人の割合、効能の見られなかった人の割合を明瞭に表示すべき」と通達している。これは、事実上の「打ち消し表示」禁止ともいえる。

機能性表示制度については、医薬品のような効果効能を書けないものの、これまで出来なかった表現の緩和が行われている。

その一方で、これまで一般的に使われてきた表現の見直しや規制の強化も進み、真に「エビデンスに基づいたものなのか」が厳しく問われている。

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