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ガン克服へ向け、世界で進む統合医療

11月13日、秋葉原コンベンションホールで、「ドイツ・オーストリアにおける癌を中心とした統合医療〜 QOL向上を目指した治療戦略」(主催:日本腫瘍学会)をテーマに、第1回日本腫瘍学会 学術集会が開催された。海外からヴォルフガング・ケストラー教授(オーストリア腫瘍学会会長)らが招聘され、世界の統合医療の現状が報告された。

ガン治療、統合医療による全人的な療法が不可欠

ケストラー教授は、「ヨーロッパの癌統合医療〜QOLを第一に」と題した講演で、西洋医療と代替医療のコラボレーションによる統合医療が世界的な潮流になりつつある状況を報告。従来の薬剤、放射線、切除手術による三大療法ではガンの根治が難しいことを指摘し、統合医療による全人的なガン治療が必要であることを強調した。

また、精神腫瘍学の重要性に触れ、患者とのコミュニケーションなど精神的なアプローチがガン治療に不可欠であることを説いた。

日頃のガン予防の心得としては、タバコや体に良くない食品を避ける、重金属の解毒、免疫強化、栄養療法、整体療法、精神治療などを挙げた。

現代医療と代替医療との連携による統合医療については、特に米国における先進的な取り組みがよく知られる。 代替療法(Complementary and alternative medicine=CAM)とされる鍼治療、カイロプラクティック、栄養療法などの利用は1990年 代に入って国民の間でさらに高まりをみせ、現在では医療システムの一貫として医療現場に浸透しつつある。
1997年の調査では、年間360〜470億ドルをCAMに費やすと推定され、同年の公的機関の入院費を上回ったことも分かっている。

2004年に、Centers for Disease Control and Prevention's (CDC) National Center for Health Statistics (NCHS)は、National Health Interview Survey (NHIS)2002年の 調査をベースに、米国における代替療法の利用状況を発表している。
18歳以上の成人31,044人を対象に、鍼、アーユルベーダ、バイオフィードバック、瞑想、栄養療法など27の代替療法(CAM)についてインタビュー調査したもので、 利用状況については、「これまで一度でも利用したことがある」が74.6%。「過去1年に利用したことがある」が62.1%となっている。

療法別では、「自分自身の健康のための祈り療法」がトップで43%。 「他者による自分自身の健康の祈り」が24.4%、以下、「ナチュラル製品(ビタミン、ミネ ラル以外)」18.9%、「深呼吸運動」11.6%、「自分自身の健康のための祈りグループ への参加」9.6%、「瞑想」7.6%、「カイロプラクティック」7.5%、「ヨガ」5.1%、「マッサ ージ」5.0%、「栄養療法」3.5%、「ホメオパシー」1.7%、「鍼治療」1.1%と続いた。

利用の理由としては、「医薬品などの一般治療と併用すると 効果が現れる」がトップで54.9%。以下、「興味があるから」50.1%、「一般治療が効かない」27.7%、「一般医に薦められて」25.8%、 「一般の医薬品は高すぎる」13.2%となっている。

代替療法への関心は政府機関のみならず、様々な団体、企業で高まっており、さまざまな 調査が行われているが、Consumer Reportが2005年6月に発表した 購読者34,000人を対象に行ったアンケートでは、マッサージやカイロプラクティックが高い人気を示した。

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