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サプリメントVS医薬品の相互作用〜ハーブ編

医者にかかっているアメリカ人の約25%が、ハーブなどのサプリメントを併用しているという。しかし、そのことを医者に伝えているのは、うち約70%。ハーブと医薬品の相互作用に関する報告が少ないことから、安心感を抱いている人はかなり多い。しかし、誤って併用すれば命取りにもなりかねない。これまでに報告されている人気ハーブと薬との併用による弊害をまとめた。

◎エキナセア

免疫力を高め、風邪に効くハーブ。インフルエンザの予防、せきや発熱の緩和といった症状にも使用されている。キク科の植物で、ネイティブアメリカンが治療目的の生薬として使用してきた。副作用がないといわれているが、大量に服用すると胃に不快感が出るほか、8週間以上続けて服用すると肝臓に害を及ぼす恐れがある。

【これまでに報告された薬との弊害】
・シクロスポリン、アザチオプリンなどの免疫抑制剤との併用は、薬の効き目を鈍くする。
・抗悪性腫瘍薬メトトレキサートなど肝機能に副作用をおよぼす薬との併用は避ける。

◎ジンジャー(生姜

血行を促進し体を温めるほか、吐き気を抑える、消化を助け、食欲を増進させるなどの効果がある。

【これまでに報告された薬との弊害】
・ワルファリンやアスピリンなどの血液凝固阻止剤との併用は、出血を促す恐れがある。
・精神安定剤と併用すると、薬の沈静作用を促進する恐れがある。
・胆石患者は服用を避けること。
・大量に摂取すると、心臓病、糖尿病、血液凝固阻止の治療の障害となる。

◎ニンニク

コレステロール値や血圧を下げるほか、がんを予防する、免疫力を高める、抗酸化作用がある―などの効果が報告されている。

【これまでに報告された薬との弊害】
・血液凝固阻止剤と併用すると出血を促す恐れがある。
・抗炎症薬との併用は相互作用の恐れがある。

◎セント・ジョンズ・ワート

ストレス撃退サプリメントの決定版。ストレスによる鬱症状を改善する。ただし、効き目があるのは、軽度から中度に限られ、重度の症状には効果はない。抗鬱薬に比べ副作用は少ないが、ごくまれに光過敏症、胃腸の不調などが報告されて いる。

【これまでに報告された薬との弊害】
・強心剤「ジゴキシン」と併用すると、薬の効果が鈍る。
・HIVの治療薬indinavirとの併用は、薬の効き目を鈍くする。
・血液凝固阻止剤と併用すると出血を促す恐れがある。
・抗鬱剤との併用は、薬の効き目を鈍くする。
・麻酔が効きにくくなる。
・避妊ピルとの服用は、ピルの効果を妨げる。

◎イチョウ葉

血液をサラサラにし、血管を丈夫にして血流を改善する働きがある。そのため、脳の血のめぐりがよくなり痴呆予防に効果があるほか、肩や手足、目などの抹消の血液の流れも良くなることから、肩こり、手足の冷え、疲れ目にも効果的だ。

【これまでに報告された薬との弊害】
・アスピリンなどの血液凝固阻止剤と併用すると、血小板の固まる働きが促進されるため出血の恐れが高くなる。
・てんかん患者が使用する抗痙攣薬との併用は避ける。
・三環系抗うつ薬との併用も避ける。
・高血圧患者用の利尿剤サイアザイドとの併用は血圧を上げる恐れがある。

◎カバカバ

不安やストレスに効くハーブ。軽い鬱には定番商品だ。長期にわたり飲み続けると、皮膚、髪、つめが黄色くなるが、飲むのをやめれば元に戻る。

【これまでに報告された薬との弊害】
・精神安定剤や睡眠薬との併用は、沈静作用が高まり、意識不明になる恐れがある。
・パーキンソン病の治療薬と併用すると薬の効き目が鈍る。

◎サンザシ

血圧を下げるほか、強心作用があるといわれる。

【これまでに報告された薬との弊害】
・強心剤「ジゴキシン」との併用は、薬の効き目に影響を及ぼす。

◎バレリアン  

神経の高ぶりを抑えるため、心配やイライラで気持ちが高ぶってしまう人に良いといわれている。

【これまでに報告された薬との弊害】
・ベンゾジアゼピンやバルビツール剤などの精神安定剤との併用は、沈静作用を高める恐れがある。

◎薬用ニンジン

スタミナを高めるほか、ストレス時の頭の回転を助け、体の調子を良くする。

【これまでに報告された薬との弊害】
・抗鬱剤のフェネルシンやモノアミン・オキシダーゼ阻害薬との併用は、頭痛、不眠、震え、活動過多といった症状の出ることがある。
・インシュリンなど血糖値を下げる薬との併用は、血中のブドウ糖値を下げる。
・血液凝固阻止剤および非ステロイド性抗炎症薬との併用は、出血を促す。
・抗精神病薬の併用は薬の効き目を妨げる。
・エストロゲンとの併用は、薬の副作用を強める恐れがある。
・心臓病の薬ジゴキシンとの併用は、薬の効き目に影響を及ぼす。
・糖尿病治療薬との併用は、低血糖症を招く恐れがあることから、併用する際は十分な注意が必要。

◎リコライス(甘草

抗炎症作用があり、呼吸器官や消化器官の不調改善に効果がある。

【これまでに報告された薬との弊害】
・ステロイドや利尿剤といったカリウムの排泄を促進する薬との併用は、薬の効き目を鈍くする恐れがある。
・抗高血圧薬と併用すると、血圧を高くする恐れがある。
・心臓病の薬ジゴキシンとの併用は、薬の効き目に影響を及ぼす。

◎ゴールデンシール  

呼吸器官や消化器官の粘膜炎症の治療にネイティブアメリカンが使っていたハーブ。風邪やインフルエンザの予防にもよく用いられる。

【これまでに報告された薬との弊害】
・血液凝固防止剤と併用すると薬の効き目が鈍くなる。
・精神安定剤との併用は、沈静作用を促進する。
・抗高血圧薬と併用すると、薬の効き目に影響を及ぼす。
・強心剤と併用すると、薬の効き目に影響を及ぼす。

◎ブラックコホッシュ

生理痛や更年期障害の症状を緩和する。ブラックコホッシュに含まれるテルペノイドにエストロゲンと同じような働きがあることから、ホルモン療法の代替としても用いられている。

【これまでに報告された薬との弊害】
・血液凝固阻止剤との併用は、出血を促す恐れがある。

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