がんイニシエーションの中和と免疫力の増強が大切
2008年4月1日より、40歳以上〜74歳対象に健康診断が義務化される。人は検診で「病名」を与えられると「病気」になり、「病人」になっていく、という皮肉めいた話もあるが、ともあれ、総じて40歳以上といえば、糖尿病やメタボリック症候群、さらにがん罹患の予備軍であることは間違いない。ちなみに、自覚症状はないが、検査値で異常が出ている状態(時期)を「未病」と呼ぶ。40歳以上からの健康診断は「未病」の中身を明らかにし、疾患の早期発見・治療を目指すというもの。
福生氏(博慈会老人病研究所所長)は、「健康診断義務化時代の未病のがん対策」と題して講演。「がんが自覚症状が出るまで成長するのに、通常細胞内レベルでの異変が生じてから10年から20年はかかる」とし、がんのイニシエーション(誘因)として、放射線、ウイルス、カビ、たばこ、食物からの発がん物質などを挙げ、さらに、活性酸素や変性酸化物質がプロモーション(促進)となることを指摘した。また、「イニシエーションに対する中和力と免疫力の増強が未病のがん対策になる」とし、機能性食品による栄養改善の必要性を説いた。
活性酸素抑制がアンチエイジングやメタボリック症候群対策のカギ
がんのプロモーションの筆頭に挙げられる活性酸素は、アンチエイジング(抗老化)やメタボリック症候群にも大きく関わる。「抗炎症とアンチエイジング」と題した講演で、遠藤氏(浜松医科大学 医学博士)は、「医食同源という言葉があるが、医が先ではなく、これからは食が先」と述べ、日頃の「食」管理の重要性を強調。炎症により放出される活性酸素が動脈硬化や血栓症、さらに遺伝子DNA損傷によるがんの発生などを招く危険性を報告した。
また、ブドウ糖による蛋白質の糖化を挙げ、「ここ数年の医学の動向をみるとブドウ糖そのものが炎症の前駆物質になることがわかってきた。実際はほとんどがエネルギーとして使われるが、余ったものが溜っていくとそれ自身が炎症の引き金になっていく可能性が高い。こうした研究論文が2006年、2007年で各700件以上出ている」と述べ、炭水化物の摂り過ぎはメタボリック症候群の要因となることを指摘した。
腸内細菌叢が免疫や疾患予防に大きく関与
では、日頃の「食」管理で、免疫力の強化を図るにはどうすればいいのか。
日本の腸内細菌研究の第一人者として知られる光岡氏は、「健康長寿の秘訣」と題して講演。「腸内細菌叢における有用菌優勢有害菌劣勢のバランスを維持することが大切」で、腸内にビフィズス菌などの有用菌を増やすことが、免疫力を高め、疾患予防や健康・長寿につながると説いた。
ヒトの腸内には100兆、100種に及ぶ細菌が棲むといわれる。「生まれたての赤ちゃんはビフィズス菌が非常に多いが、離乳期になると減っていく」(光岡氏)。ビフィズス菌のような有用菌は、腸内で有害菌の増殖を阻止し、腸内環境を浄化する。また、「ある種の有用菌の菌体成分は生体の免疫能を刺激する。腸内細菌叢は、腸内代謝に反映し、宿主の栄養、薬効、生理機能、老化、発癌、免疫、感染などにきわめて大きな影響を及ぼす」という。
有害菌についてはどうか---。
「腸内でアンモニア、硫化水素、アミンなどの腐敗産物や発癌物質を生成し、腸管に直接障害を与える」と光岡氏。また、「一部は吸収されて長い間には肝・膵・心・腎・脳・生殖器など各種臓器に障害を与え、発癌・動脈硬化・高血圧・肝臓障害・自己免疫病・免疫能の低下など、生活習慣病の原因となる可能性が高い」(同)。そのため、乳発酵製品など腸内に有用菌を増やす食品を摂るとともに、免疫強化物質を含む機能性食品を適正に利用することが大切という。
免疫強化に果たす機能性食品の役割
マンドウー・ゴーナム氏は、「免疫力向上における機能性食品の評価」と題して講演。「アメリカでは毎年60万人ががんで亡くなっている。実はがん患者はがんで死亡しているのではなく、感染症で亡くなっている。免疫系が抑制しているため」と述べた。
ゴーナム氏らは、25年にわたり、生物反応修飾物質(BRM)の免疫増強能の作用機序を検討する中で、毒性のない機能性食品に着目、ビタミンCや米ぬかアラビノキシラン(バイオブラン)などの検証を行ってきた。
ビタミンCについては、「ヒトNK細胞に対して、8時間で即効性のある増殖作用を発揮するが、効果は48時間後には通常レベルに戻る」が、これに対し、「高齢マウスにバイオブランを投与すると、対照マウスの5.8単位と比べて、NK活性が35.2単位に著しく増強した」という。また、「バイオブランはヒトのNK活性も1〜2週間で増強させ、反応性の低下は見られなかった。バイオブランはT細胞とB細胞の増殖を高め、IFN一γの産生を増大した」という。
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