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 【特別寄稿】ブラジル・プロポリス見聞記

潟Xポーツアカデミー 代表取締役社長 中野成章

プロポリスの起源植物・バッカリス

 ベロオリゾンテからブラジル南部の古都オウロプレトへ向かっていたワゴン車が、突然道路の傍に止まった。「さあ、皆さん、車からちょっと降りて下さい」と案内役をつとめるネクター社のアブレウ社長。道路からほんの数メートル入った繁みに日本人一行8名を導くと「ほら、そこにバッカリスがはえている。これがプロポリスの起源植物です」---。

指された一本の潅木は高さ2〜3メートル、一見なんの変哲もない小さな白い花をつけた植物だが、この木にミツバチがやってきて芽の部分をかじり、自ら出した唾液とこね合わせて手足につけて巣に持ち帰る。それがプロポリスだというのだ。

 思わず隣に立つ”プロポリス博士”の松繁先生にきいた。「先生、プロポリスはアマゾンにあるユーカリの木から集められるときいていましたが・・・」「どうしてそんな話が広まってしまったんでしょうかね。アマゾンではプロポリスはあまり作られませんよ」---。

ミナス・ジェライス州ベロオリゾンテ市で「第1回国際プロポリス」セミナー

 意外な説明がかえってきた。私は一瞬言葉を失った。日頃なじみのないプロポリスの採取とか生産の方法にくわしくないのは仕方がないとしても、プロポリスを愛用する者の一人として、この知識の欠如は一体何なのだろう。でも考えてみれば、今日まできわめて断片的な知識の中でしかプロポリスと接してこなかったのもまた事実なのだ。

 <よし、この際プロポリスを正しく理解することに努めてみよう。素人は素人なりに知識を備えられるはずだ。まして今度の旅ではプロポリスの権威者とご一緒なのだから・・・>
 今年の春頃だったろうか。かねてハーピストの小倉知香子さんを介して実篤に願っている日本プロポリス株式会社の菅澄子社長からブラジル行きのお誘いをいただいた。

 '01年11月4日、ミナス・ジェライス州のベロオリゾンテ市で開かれる第1回国際プロポリス・セミナーの共催者として、日本プロポリス研究の先生方とブラジルへ行くので、オブザーバーとして参加されては・・・とのお話だ。

 思えば遠く学生時代から「インカ帝国の歴史」を卒業論文に選んだほど南米には親しみを持っていたし、さらに昭和32〜3年ごろ駆け出しの新聞記者として赴任した横浜で、どこか悲壮感のただようブラジル移民の船出をたびたび取材した強烈な思い出を通じて、ブラジルは一度は訪れてみたい国のひとつであった。

 「ぜひお願いします」と手をあげてはみたものの、旅行にはちょっと不安な面もあった。半月間も会社を空けて大丈夫だろうか。出発を妨げるトラブルが起きないか。日本から見れば、ちょうど地球の裏側の遠い遠い国。行ったら最後、数時間で帰国することなどとうてい出来ない。

米国同時多発テロ事件直後、一行8名でブラジルへ

 その心配は、まったく予想もしなかったかたちで現実のものとなった。9月11日、ニューヨーク、ワシントンを襲った同時多発テロ事件と、それに続くアフガン戦争の勃発である。以後アメリカを経由する空の旅はもっぱら敬遠される雲行きとなったが、一行8名の中には機上の人となるまで、だれ一人このことを口にした人はいなかった。事件の影響で出発前日になってもビザがおりず、旅行代理店が肝を冷やすひと幕はあったものの、予定どおり10月26日、アメリカン航空機で成田を発ち、シアトル、マイアミ経由ブラジルへ向かった。
 ここで今回のブラジル訪問団の顔ぶれを紹介しておこう。
・日本におけるプロポリス製品製造のリーディング・カンパニーとして確固たる地位を築いた日本プロポリス鰍フ菅澄子社長
・富山医科薬科大・和漢薬研究所を振り出しにこれまで一貫してプロポリスの研究を進め、この道の第一人者といわれる松繁克道薬学博士
・富山医科薬科大でプロポリス研究チームを主宰する門田重利教授
・門田教授をサポートするネパール出身のA・バンスコッタ薬学博士
・菅社長のご息女で日本プロポリス鰍フ常務取締役をつとめる嵯峨通子さん
・そのご主人で今回の訪問では写真資料の取材にあたった嵯峨氏(東映エージェンシー勤務)--の6名に
・ハーピストの小倉知香子さん
・私、中野が加わったが、小倉さんにはサンパウロ市随一のホテル「ルネッサンス・ホテル」でコンサート”音楽の夕べ”を開くという特別の目的があったから、私ひとりが気軽な旅がらすということか。それではならじと、にわかレポーターを気取ってみることにした。さっそく「プロポリス見聞記」を進めてみたい。

プロポリスの起源植物は四百種以上

 それにしても、冒頭でバッカリスの話を紹介した様に、プロポリスには驚かされることばかりだった。我々一行はまずプロポリス研究のメッカともいわれるヴィソーザ大学へ向かった。同大学では菅社長と松繁、門田、バンスコッタ3氏を招聘しての研究報告・講演会が開かれることになっていた。

 講演会を前に案内された学内の養蜂場で、またまた不思議なものを見た。潅木が茂る山道にずらりと並ぶ1メートル四方程のプロポリス採取箱。どの箱にも真っ黒にみえるほどのミチバチが群がり、いそがしくプロポリスを作っている。その中のひとつに抹茶を吹き付けたような緑色の物質が付着した箱があった。
 他の箱は一見してそれとわかる焦げ茶色のプロポリスなのに、この箱のものはどう見ても緑色だ。

 一行を養蜂場へ導いたヴィソーザ大学のプロポリス生産研究の権威デジャイール教授によれば、これもまたプロポリスで、茶色のものより少し高級品なのだという。だがこの緑色のプロポリスがどの様な植物から運ばれて来るのかについては、まだよくわからないと教授は話した。そう、プロポリスそのオリジン(起源植物)には四百種以上あるといわれるが、どの植物からどの様なプロポリスが採れるのか、まだ解明されていないところが多いのだそうだ。ちなみにプロポリスには、茶、緑のほか、赤、灰、白色のものまであるという。

本家ブラジルでのプロポリスの本質的な解明はやや遅れぎみ

 実際、このあと開かれた研究発表会でも、プロポリスが多くの点で研究途上にあることをうかがわせる報告が少なくなかった。大学側からは、植物学、生物学、化学、畜産学などそれぞれの学問の立場でプロポリスを研究しているスペシャリストのグループ10名数名が出席し、研究内容を紹介したが、これから成果が期待されるといったプロジェクトがほとんどだった。

 ブラジルはいまや世界1のプロポリス生産国。アフリカから持ち込まれブラジル化したといわれる新種のミツバチによって、蜂蜜、王乳(ローヤルゼリー)、蜜蝋に次ぐ第四の物質---。抗菌、殺菌、免疫活性、抗ガンなどの優れた作用を持つといわれるプロポリスがもたらされた。だがこのプロポリス、どちらかといえば製品化と臨床効果測定が日本や欧米先進国の間で進み、生産国ブラジルにおけるプロポリスの本質的な解明がやや遅れている様にも感じられた。

 例えば、ミチバチはその種類によってプロポリスを集めたり、集めなかったりするのか、それともプロポリスの成分を含んでいるバッカリスの様な植物が近くにないために、集めたくても集められないのか(現に日本のミチバチはプロポリスを集めない)、また様々な起源植物から集められたプロポリスには、どの様な成分の違いがあり、その作用、効果の程はどうなのか等々、我々素人が質問したくなる様な事柄が推測や仮説はあるにせよ、意外に定説として確立されていないのだ。
 プロポリスは、神様がミツバチをこの世に贈られた奥行きの深い、神秘のベールに包まれたものなのかもしれない、などと考えていたら、松繁博士が面白い話をしてくれた。

 「ミツバチの一生は大体4〜50日といわれている。この短い間にミツバチは3つの大きな仕事をする。はじめの15日間は巣の中で女王蜂の世話をしたり、掃除をしたりする。つまり内勤です。次の15日間は外に出てミツを採取する。そして最後の15日間でプロポリスを求めて飛びまわるのです。これがハチ社会の節理なのです」−−−これはすごい。さしずめ壮年期を下った小生などは、いままさにプロポリス集めの日々を送っているということか。

プロポリス生産を農業や鉱業と並ぶ産業に

 11月4日の日曜日、ベロオリゾンテ市内にあるマテルデイ病院の講堂は、朝早くからおよそ200名のプロポリス生産者や研究者がつめかけ熱気にあふれた。プロポリス生産を農業や鉱業と並ぶ産業に成長させようと力を入れるブラジルでは、この第一回プロポリス国際セミナーにかける期待も大きく、日本側3氏を含む8講師の研究発表に熱心に耳を傾けていた。ここではその中から主催者のアブレウ社長と松繁克道博士の講演の概要を収載することとした。
「プロポリスの用途、3千年の歴史」(アブレウ社長):
プロポリスは紀元前3千年の古代ローマ時代から防腐剤などとして使われていたといわれています。近代では1940年〜80年代に、抗生物質の発見を桟に研究が盛んになり、とくに分析の結果、ブラジル産プロポリスの優秀性がわかってきました。植物学において起源植物の研究が進み、養蜂学との両輪でプロポセラピーが確立されたのです。 西欧の科学薬品は病気に対して使われていますが、プロポリスは健康保持のために使われます。 私たちは「ミツバチがいる所に健康がある」の言葉を忘れてはならないと思います。

「生活習慣病へのプロポリスの効用」(松繁克道博士):
95%のお医者さんは、病気になるのは個人の責任と考えているようですが、果たしてそうでしょうか。この2年間で子供の喘息は2倍、東京、大阪では2.5倍になりました。空気の汚れが原因とみられます。日本人の死因のトップは肺ガンです。2年前までは胃ガンが1位でした。日本の男性は今40%が禁煙しています。にもかかわらず肺ガンが多いのは、様々なかたちの公害に原因があると考えられます。

ほとんどの病気の引き金となっている活性酸素

 現代病は公害病であるといっても過言ではありません。その公害病なるものは「活性酸素」であると認識しています。現代社会には車の排気ガス、ダイオキシン、たばこ、食品添加物など多くの公害要因が存在し、これらのすべてから活性酸素を中心とするフリーラジカル(酸素に限らず炭素、窒素化合物など多くの公害物質を含んだもの)が発生します。活性酸素はほとんどの病気にかかわっており、これが増えると引き金となって病気にかかります。従って、健康を維持するには活性酸素を 押えなければなりませんが、これに効果を発揮するのがプロポリスなのです。

 プロポリスはどの病気に効果があるのかとよく聞かれますが、活性酸素を除去してしまうのですからほとんどの病気に効果があるといってよいでしょう。
 糖尿病、肝臓、腎臓疾患、またフリーラジカルによって起きるアルツハイマーや、このところ日本で急激に増えている骨粗しょう症などにも大きな効用があります。さらにいま問題になっているのが電磁波による免疫力の低下ですが、これを救えるのはプロポリスぐらいでしょう。ガン発生抑制効果、末期ガンへの対応などを含めプロポリスの将来は限りなく明るいと思います。

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 今度のブラジル旅行が単なる物見遊山に終わることなく、プロポリスを知る目的のある旅にできたこと、そのチャンスを与えてくださった日本プロポリスの菅澄子社長に心から感謝を申し上げたい。

 また日系人を中心に現地の人々を感動させた小倉知香子さんのハープ・コンサートの成功、イグアスの滝の大景観に接した時の驚き、リオのコパカパーナ海岸での散策などが強く印象に残ったことを書き添えて筆をおくこととする。

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