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カフェインは安全か否か、米国で再び論争

3月24日付けのFree Pressで、カフェインの安全性論争が米国で巻き起こっていると伝えている。FDAにはカフェインの安全性の見直しとラベル表示を求める嘆願書も届いているという。これまでにも妊娠中の女性のカフェインの過剰摂取が問題視されたが、食品に摂取量などのラベル表示をすべきか否か決断を迫られている。

FDAは妊娠中の女性に摂取量の指示

Free Pressが報じるところによると、昨夏、公衆衛生を考える団体が米食品医薬品局(FDA)に対し、カフェインの安全性見直しとカフェインを含む食品に含有量表示を求める嘆願書を提出したことが事の発端になったという。嘆願書はカフェインの摂取量やラベル表示を明らかにすべきというもので、これによりカフェインの安全性論争に再び火がついた。

これに対し、現在FDAは検討中で、「妊娠中の女性はカフェインの含まれる食品を避けるか、量を減らすべき」との指示を出しただけという。とはいえ、体勢の見方では「現在の状態でカフェインに関する安全事項を変更する理由は見当たらない」とされている。

1日300mg以上摂取すると妊娠確率が17%減少

ところで、これまでにもカフェインの安全性を調べた研究は数多く報告されており、Free Pressでは以下のように報じている。

1)がん/10年以上前、New England Journal of Medicineに、コーヒーと膵臓がんとの関連を示す研究報告が掲載されたが、FDAは「事実とは異なる」と否定している。またLancet誌では、膀胱がんとの関連を研究した35件を分析したが、実証はされなかった。

2)乳腺症/カフェインとの関連は実証されていない。乳がんも同様。

3)骨粗鬆症/カフェインが骨からカルシウム分を排出させ骨折の危険性を増加させるという研究報告があるが、その危険性はミルクを飲むことで相殺されるともいう。

4)不妊/1990年、ハーバード大学などが行った女性3千人を対象にした研究では、カフェインと不妊の関連性は実証されなかった。1995年のジョン・ホプキンス大学が行った2千500人の女性を調べた研究では、1日300mg以上のカフェインを摂ると妊娠確率が17%減少すると指摘している。

5)流産/4件の研究のうち、2件では関連性が認められなかったが、他2件では1日150〜300mg摂取すると、いくらか流産の割合が増加すると指摘している。 ボストンの研究者によると、1日100〜200mg摂取すると気分がいくらか高揚し、300mg(小カップ2杯半)だと不安感が増す。また、1,000mg(同7杯半)では話し方にとりとめがなくなるという。

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