2001年9月8日(土)、
「第3回 21世紀 食と健康フォーラム」開催

2001年9月8日(土)、お茶の水スクエアC館3階ホール並びに8号室で「第3回 21世紀 食と健康フォーラム」(主催:日本未病システム学会)が開催された。当日、特別講演「高齢社会における機能性食品の役割」(お茶の水女子大学生活環境研究センター教授 近藤 和雄)、シンポジウムでは「機能性食品の科学的検証」が行われた。

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日本医科大学第二内科
 助教授 福生 吉裕

○21世紀はセルフプリベンション(自己予防)の時代

21世紀はセルフメディケーションの時代と言われています。「自分の健康管理は自分で行う」という事が時代の大きなトレンドとなる事を示唆しています。これには介護保険が成立したことと大きな関連があります。この保険の成立には「介護は社会で皆で看るもの」というコンセプトがあったからです。
そして、それなりの施設が整ったまでは大きな進歩と言えます。しかしこのシステムを運営するにあたり40歳から65歳までは保険料を支払うという現状があり、この世代が倒れては元も子もなくなる事は自明です。

否が応でも自分の身体の具合に注意が向けられてきます。それがセルフメディケーションであります。字のごとく自己管理、自己予防となりますが、言うは易く行うは難いものがあります。
このセルフメディケーションがなかなか思うようには行かないことも事実です。これまでの西洋医学では「健康か病気か」の概念しかありませんでした。そこで健康と病気の間に「未病」という時期を設定してみるのです。これに気づけば意外とセルフメディケーションがスムーズに行くのです。

○未病のいわれ

ではこの未病とは何でしょうか。未病とは約2000年前の中国後漢の時代、黄帝内経という書物に初めて現れてきます。黄帝内経とは科学一般の教科書といったところで、基本は古代哲学である陰陽理論と五行理論を中心思想として展開されます。
この未病とは字のごとく「未だ病にあらず」と言う状態を差し、この黄帝内経では「聖人は己病を治さずして未病を治す」などの言葉が見られています。

当時の医療技術におけるレベルより察してその未病の中心となるものは陰陽五行説に基づく種々の成人病の生薬治療法、それに不老長寿の心得なるものが中心でした。
その概念は重要なKey wordですがそのアプローチのしかたは現在とは随分と異なったものであり、本場の中国では今では殆ど忘れ去られ、僅かに薬膳の世界に風化されてしまったといっても過言ではありません。それを現代の日本に復活させることで21世紀の日本の医療に多大に活用できると思われるのです。

○未病の実体と範囲

では具体的には未病とは現代では何をさすのでしょうか。新・未病では「検査値では異常があるが自覚症状のない状態の時期、放置すると必ず病気になる時期」として明解な定義付けを致しました。

この未病の実体として例えば軽症高血圧、境界域糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満、脂肪肝、シンドロームXそのほかB型肝炎キャリアーやHIV陽性、無症候性脳梗塞なども入ります。それに遺伝子病も入って来ます。
将来の医療経済の状況を考えるとこの未病期間のコントロールこそが、日本の医療費の軽減につながり、しいては健全な長寿社会の出現になるからです。この時期は「医療費も使うが税金も治められる時期」であるわけです。「全て健康ではないが、病気にならなければよい」、とする考え方が知恵ではないでしょうか(非病非健の思想)。

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○科学的根拠のある健康食品を明確に

多くの健康食品が世に出回るようになりました。食は健康の源であり、自分に合った健康食品を取ることは健康の自己管理に繋がりますが、医師の間でもその指導はうまく出来ないのが状況です。まして一般の生活者にとってどれが本当によいのかは正確に情報として知らされていないのが現状です。
国民皆保険のないアメリカではすでにセルフメディケーションの概念が進み、健康食品に対し厳しい検証が進んでおりますが、日本では立ち遅れた分野の一つです。

日本未病システム学会では科学的根拠のデーターがある健康食品を明確にし、一般生活者にその情報を提供する必要があると考えております。
以上のような目的で「第3回 21世紀 食と健康フォーラム」を開催致します。一般生活者と同じ土俵で健康食品の検証を行うことによりより正確な健康情報が届きますことを願っております。

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