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いかに生活習慣病の発症を防ぐか
2001年9月8日(土)、お茶の水スクエアC館3階ホール並びに8号室で「第3回 21世紀 食と健康フォーラム」(主催:日本未病システム学会)が開催された。当日、お茶の水女子大学生活環境研究センター教授の近藤和雄氏が「高齢社会における機能性食品の役割」と題して講演。抄録より内容を紹介する。
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7)酸化変性LDL・本当の悪玉:
最近の研究では、LDLそのものが動脈硬化を引き起こすのではなく、酸化変性したLDLが問題であることがわかってきた。LDLが高いと、LDL受容体のLDL受け入れには限度があるため、LDL受容体を介して組織にコレステロールを供給できないLDLが血液中で滞留する。 この酸化変性LDLが、 LDL受容体によって、取り込まれなくなるため、血中の単球を呼び寄せ、マクロファージ化して、スカベンジャー受容体ファミリー(スカベンジャー受容体、CD36など)を介して自らを処理しようとする。しかし、マクロファージは、際限なく変性LDLを取り込むため、取り込みすぎて泡沫化し、動脈硬化は進展する。 従って、動脈硬化の予防には酸化変性したLDLの量を増やさないために、悪玉とされてきたLDLの量を増加させないことは当然であるが、さらにこの悪玉LDLを本当の悪玉(酸化変性LDL)にしないことが、より重要であることがわかってきた。 8)ビタミンEなどの抗酸化物の重要な役割: LDLから変性LDLに至る過程には、様々な抗酸化物が関与して、変性LDLの生成を防いでいる。血液中に存在する抗酸化物として代表的なものは、ビタミンE、ユビキノール、カロテノイド(β-カロテン、リコピン)などの脂溶性抗酸化物と、ビタミンC、尿酸、アルブミン、ポリフェノールなどの水溶性抗酸化物である。 これらの抗酸化物は、LDLの内外において、LDLの酸化修飾を防止する。脂溶性のビタミンE、β-カロテンはLDL内において、また水溶性のビタミンCは、LDLの外において、活性酸素などの酸化修飾からLDLを守っている。さらにビタミンCには、すでに酸化修飾を受けたビタミンEを元に戻す働きがあり、複雑にLDLの酸化変性を防止している。 9)赤ワインは何故良いのか:
血中の抗酸化物の中には、主に食品から摂取されて動脈硬化の抑制の役割を果たしていると考えられているものがあるが、このことを疫学的に表している事例に、“フレンチパラドックス”がある。 筆者らの検討では1)、健常人に赤ワインを2週間投与して、LDL抗酸化能が有意に亢進していることが確かめられた。 この他にも、Zutphen elderly study2)では、1日30mg以上のポリフェノールの摂取者に動脈硬化性心疾患の発症率の有意の低下、Seven countries study3)では、ポリフェノールの摂取量と動脈硬化性心疾患の間には、負の相関が認められている。またフィンランドの研究4)でも、ポリフェノールが動脈硬化に予防的に働くことを示す結果が得られていて、抗酸化物を摂取することの重要性が現実のものとなっている。 10)赤ワインにつづく食品: LDLの酸化を防ぐ抗酸化物の役割が認識されるにつれ、様々な抗酸化物を含む食品が新たにわかってきたり、再評価される様になってきている。 なかでも、色素成分や渋味、苦味成分であったポリフェノールを含む食品は今まで無視していたこともあり、重要である。おそらく、赤ワインのLDLに対する抗酸化作用が明らかになる前までは、赤ワインの赤の色や渋味、苦味が私たちの身体に役に立つなどと考えた人など皆無だったのかもしれない。 赤ワインからわかってきたポリフェノールの効能であるが、ポリフェノールを調べてみると数千とも言われている様々なポリフェノールがあり、含まれている植物を酸化から守っている。そして、植物に含まれているポリフェノールが植物ばかりか、人の体内でも酸化に対する防御に重要な働きをすることがわかってきたわけである。
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代表的なポリフェノールとしては、カテキン、ケルセチン、イソフラボンなどがあげられる。
またカロテノイドにもベーターカロテンのニンジン以外に、リコペンを持つトマト、スイカ、アスタキサンチンを持つサケ、イクラ、エビ、カニ、タイなどがあり、抗酸化物として役立つ。
動脈硬化を防ぐためには、単にLDLの濃度“量”を下げるだけでなく、LDLの酸化変性“質”の防止も重要であることが明らかになった。
【文献】 |
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