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【 米国で女性のがん罹患率のトップを走る乳がん 】

米国で男性のがん罹患率のトップは前立腺がんだが、では女性はというと乳がん がトップを走っている。ここ数年、インターネットからがん予防のさまざまな 情報を得られやすくなったことから、西洋医療と代替医療との併用で病気と闘 っていこう、という乳がん患者も増えている。今、米国で注目されている乳がん 予防のサプリメントなど代替医療の最前線を報告する。

今年、21万5990人が新たに乳がんと診断

米がん協会によると、米国における女性のがん罹患率のトップは乳がんで、 今年は21万5990人(うち男性1450人)が新たに乳がんと診断され、4万580人 (うち男性470人)が死亡するものと推定されている。

人種別でみると、白人の罹患率が最も高く、黒人の1.2倍、アジア系の1.7倍。 地域別では、ワシントン州の罹患率が最も高く、ニューメキシコ州が最低と なっている(米厚生省2003年11月13日発表)。

罹患率は1980年から増え続けているものの、90年代に入ると増加はゆるやかに なり、2000年以降は50歳以上のみに増加がみられるだけで、それ以下は横ばい 状態が続いている。 また、死亡率は1990年から2000年にかけて毎年2.3%ずつ減少しており、中で も50歳以下の減少が顕著にみられる。

最近の報告では、新たに診断されるケースの90%は転移のみられない早期発見 で、5年生存率も97%から79%と高くなっている。これは乳がん治療の進歩と 早期発見が死亡率減少の主な要因として挙げられている。

乳がん予防へ、代替医療を試みる患者が増加

治療といえば、ここ数年、代替医療を試みる乳がん患者が増えている。生存率 のアップのほか、再発予防、症状緩和、既存医療の副作用緩和が、代替医療を 治療メニューに加える主な理由だ。

CancerWellness Instituteらの資料によると、がん患者は患者でない人に比べ 代替医療を利用する率が高く、中でも乳がん患者にその傾向が顕著にみられる という。

中西部にある大学医療センターが乳がんで通院する112人の患者を対象に調べた ところ、最も利用者の多かった代替医療アプローチが「祈り」で76%、「エク ソサイズ」が38%、「スピリチュアル・ヒーリング」が29%だった。ほかには、 「メガビタミン服用」「自助グループ参加」「イメージ療法」「ハーブ」「リ ラクゼーション」「ダイエット」「ホメオパシー」「エネルギー・ヒーリング」 「マッサージ」が既存医療との併用で用いられている。

乳がん予防・治療で注目されるサプリメント

今、米国で乳がんの予防・治療として注目されているハーブ、サプリメントを 挙げると次のようなものがある。

・クェルセチン
野菜、フルーツに含まれている。健康維持を目的にした1日の摂取量は25mg。 抗酸化作用があり、乳ガン細胞の成長を妨げる働きがあるといわている。

・I3C(Indole 3-carbinol)
ブロッコリー、キャベツといったアブラナ科の野菜に含まれる。抗酸化作用が あり乳がん細胞の成長を妨げるほか、乳がんの治療に使われる医薬品タモキシ フェンとの併用による相乗効果が指摘されている。また、ホルモン療法による 乳がん発生の危険を少なくする働きも注目されている。ただし効果的な摂取量 はまだ確立されていない。

・キノコ
マイタケ、シイタケなどに含まれるβグルカン。免疫力を高める働きがある ことから抗がん物質として注目されている。最も一般的にいわれている摂取 量は1日、1〜3mg。

・セレン
抗酸化作用があり抗発がん物質として、乳がんに限らず広くがん予防に利用 されている。必須ミネラルのひとつで、推進摂取量は1日、55mgから70mg。 ただし、抗がん作用を目的とした服用は、メガ摂取が必要といわれている。

・Tocotrienols
パーム油からとれる抗酸化物質。乳ガン細胞の成長を妨げる働きが指摘されて いる。

・緑茶
緑茶に含まれるポリフェノールが進行性で転移しやすい乳がんに罹る危険を 下げるという内容の研究報告を、マスメディアが大々的に報じたことで、 すっかり乳がん予防の定番商品になった緑茶。乳がんに限らず、がん予防に 効くと雑誌などで頻繁にとりあげられている。

・補酵素Q10
抗酸化作用があり、転移のみられる乳がん治療に使われている。ただし今の ところ、効き目を立証する十分な科学的裏付けはない。限られた研究報告に よれば、適量は1日100mgから400mg。

・ショウガ
化学療法の副作用による吐き気を抑える働きがあるほか、抗発がんの働きも 報告されている。

・ジンセン
乳がん細胞の成長を妨げる働きがあるといわれる。また、化学療法による 白血球値の低下を妨げる働きも報告されている。

・メラトニン
乳がん患者は一般的にメラトニン値が低く、腫瘍が大きければ大きいほど、 メラトニン値も低いといわれている。抗酸化作用に加え免疫力を高め、さら に化学療法による副作用を緩和し、医薬品タモキシフェンとの併用で相乗 効果が期待されることから、乳がん治療に利用されている。睡眠促進を目的 とした摂取量は1〜3mgだが、乳がん治療に利用する際の摂取量は最高20mg と高い。

この他、乳がんン患者が利用しているサプリメントとハーブを挙げると 以下のようなものがある。

βカロチン  Gamma Linoleic acid  L-arginine   ビタミンA 
ビタミンB  ビタミンC  ビタミンE  ニンニク  ぶどうの種抽出液
レッドクローバー  Flaxseed oil complex

指摘されている問題点

インターネットなどで情報が容易に入手できることから、ここ数年、代替 医療を利用する乳がん患者は確実に増えている。患者にとって治療の選択肢 が広がることは決してマイナスではないが、医療関係者の中からは「代替 医療に傾倒しすぎて、すでに効果が立証されている既存の治療法をまったく 無視したために手遅れになるケースが増える恐れがある」といった声もあ がっている。

「あくまでも既存医療との併用が望ましい」というのが現時点での圧倒的な 意見だ。ほかにも、効き目を立証する科学的な裏付けが十分にないなどの 問題点も指摘されている。

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