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【 薬剤との相互作用が指摘されている主なハーブ、野菜・果物 】

2004年5月に発表されたある調査によると、2002年中に米国民の36%は何らかの代替 療法を利用しており、また19%が、ハーブや機能食品などのナチュラル・プロダクツ を試したことがあると答えている。こうした状況の中では、代替療法と一般治療の併用 というケースは珍しくなく、特にハーブなどサプリメント業界においては、有害事象の 一環として併用による相互作用の危険性がかなり問題になっている。

相互作用の仕組み

ハーブやビタミン類は自然成分のため安全という認識を持つ消費者もいるが、ハーブ、 特に薬効のあるハーブの研究は入口に立ったばかりで未知の部分が多い分野であること から、その取り扱いには十分気をつけるべきと、専門家は再三にわたって注意を呼び かけている。

ナチュラルメディスンと近代医学との併用における安全性研究も緒に就いたばかりだから だ。この問題は、ダイエタリーサプリメントの安全に関するラベル表示問題と重なって 検討が行われると予想される。

ハーブと医薬品との併用で考えられる相互作用は、薬物動態的なものと薬効学的なもの がある。薬物動態的な相互作用は、吸収、分布、代謝、排泄に変化が加わる結果として 体内のハーブおよび薬剤分子の生物利用性に不安定が生じることである。

まず吸収だが、ハーブにしろ薬剤にしろ口から入ったものは腸の壁から血流へ入り込む。 腸管内でハーブと薬剤成分が結合し、その吸収をお互いに阻害しあうケースがある。 例えば、cholestyramine、colestipolなどは特定のハーブと結合し不溶性複合化合物を 形成。腸管を通過できないサイズになって吸収しにくくなる。

また、G.I. motility(消化管運動性)に影響を与える薬剤はハーブの吸収性にも影響 する。この運動性が遅くなると、ハーブは腸内に長くとどまり吸収度合いも大きくなる。 反対に早くなれば、ハーブが腸内にとどまる時間は短くなり吸収率も下がる。例えば、 metoclopramideなどの薬剤は運動性を増大させるためハーブの吸収を悪くする。

一方、haloperidolなどはその反対。従って、運動性を下げる薬剤を使用している患者は、 ハーブを併用する場合ハーブの用量を減らすことも検討すべきである。

吸収されると、ハーブや薬剤はしかるべき場所に運ばれ作用しなければならないが、 このプロセスを分布という。分布におけるハーブと薬剤相互作用では、これまでのところ、 臨床研究で実証されている例はそれほど多くない。

安全指数が狭い範囲にあり結合型薬物濃度が高い薬剤の場合、分布の段階で相互作用が 起こる可能性がある。例えば、warfarinがそれ。WarfarinはアスピリンやビタミンK、 特定の種類のお茶などと相互作用を起こすことが指摘されている。

その次の段階が代謝である。多くのハーブや薬剤は肝臓で代謝され不活性物質となる。 肝臓がハーブや薬剤を代謝する度合いにより、ハーブや薬剤が活性状態で体内に留まる 時間の長さが決定される。肝臓がこの代謝をスピードアップする状況に陥ると、ハーブや 薬剤は速いペースで不活性化されるため、吸収された成分の全体的有効性が低くなる。

一方、代謝が遅くなると、反対の作用が表れる。例えば、phenytoinなどの薬剤は肝臓の 代謝を早めるため、併用するハーブの不活性化は早まり全体的な有効性も低くなる。

そのため、ハーブの効き目を得るためには、用量を増やす必要があるだろう。ただ、この 代謝の変化が影響として表れてくるには時間がかかる。反対に、肝臓の代謝が阻害される と相互作用は急激なスピードで表れてくるという。薬物動態の最終段階は排泄である。

ハーブや薬剤を体内から排泄する役目を担うのは主に腎臓。腎臓機能が衰退すると、 必然的にハーブや薬剤が体内に残ってしまう。従って、ハーブと薬剤の相互作用で重大 なのは、腎臓障害を引き起こしてしまうケースである。

薬剤との相互作用が指摘されている主なハーブ

もう一つ、薬効的相互作用については、ハーブと薬剤が相乗効果または相互作用を起こ した結果として吸収された物質の生物利用能に起こる変化が研究されているが、薬物 動態に比べ、その相互作用を予見、予防するのは困難だとしている。

現在、通常のドラッグストアで高い売り上げを誇る人気ハーブでも、中には注意を要する ものがある。その主な例は以下の通り;

ホーソン:
血圧やコレステロール値を下げると指摘されるハーブ。心疾患患者に処方される digoxinなどの薬剤との併用は禁じられている。併用すると心拍を極端に下げる恐れが あり、心不全を引き起こす可能性も。

ジンセン:
血圧問題を抱えている患者は、使用に関して特に注意が必要。ガーリックも同じだが、 血液希釈作用のあるCoumadinと併用すると出血の恐れがある。

ガーリック:
薬剤治療を行っている糖尿病患者は注意を要する。血糖値が急激に下がる恐れも。

ゴールデンシール:
咳や胃腸の不調改善が指摘されるハーブ。糖尿病または腎臓病の薬剤治療を受けて いる患者は注意が必要。このハーブとの併用は、電解質のアンバランスを引き起こす 恐れもある。

フィーバーフュー:
偏頭痛の症状改善で薦められるハーブ。Imitrexなど偏頭痛治療剤との併用はダメ。 心拍や血圧を急上昇させる恐れも――その他、カバ、ホワイトウィロー、ガラナなど。

※セント・ジョンズ・ワートにつきましてはこれまでにも度々掲載していることも  あり割愛させていただきました。

薬剤との相互作用が指摘されている野菜や果物

野菜や果物、乳製品などの生きる糧となる食品にも薬効成分は含まれており、薬剤 治療を行っている患者では、過剰摂取が薬剤と相互作用を起こすケースが懸念されて いる。最近特に有名となった例がグレープフルーツジュース。コレステロール制御剤、 精神安定剤、経口避妊薬、アレルギー関連薬剤など、カルシウム・チャンネル・ブロ ッカーとの相互作用が報告されている。このジュースは薬剤の代謝を変え、肝臓に 影響を与えるとされている。その他、薬剤と相互作用を起こすと考えられる食品は 以下の通り;

オレンジジュース:
アルミニウムを含む制酸財との併用は避けるべき。アルミニウムの吸収を増大させて しまう。また、オレンジジュースとミルクは抗生物質と一緒に飲まない。どちらも 抗生物質の効力を増大すると指摘される。

緑葉野菜:
ビタミンKを多く含むブロッコリー、ケール、パセリ、ほうれん草など。 Caumadinを服用している場合、食べる量に注意。薬剤の有効性を阻害したり、血栓 の原因となる恐れも。

チラミンを含む発酵食品、熟成チーズなど:
チラミンは、モノアミン・オキシダーゼ・インヒビター(MAOs)として知られる 抗うつ剤との併用は避ける。血圧の急激な上昇を起こす恐れも。

ハーブ対ハーブの相互作用は、東洋医学の中で研究成果として発表されている。特に 中国伝統医学の中では、配合禁忌として18件、中和作用で19件が挙がっている。配合 禁忌では、カンゾウとYuan HuaやHerba Sargassumなどとの配合がその例である。

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