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【 米国で感染症に有効とされる栄養および代替療法 】

米疾病予防センター(CDC)が推測するところによると、米国内で起こる食中毒は年 間650万から7千600万件といわれている。これによる入院者数は32万5千件、死亡者 数は5千から9千に上る。それでも最近は、遺伝子技術やハイテク技術などにより、殺菌 や早期診断など、食中毒対策の進歩がみられる。今年3月にCDCが発表した、カンピ ロバクター、サルモネラ、赤痢菌属、病原性大腸菌O157などによる感染状況を調べた レポート(1997年―99年)では、こうした感染が年間で90万件、約19%の減少をみた ことが明らかになった。

米国内では大腸菌感染など減少傾向に

報告によると、米国内でカンピロバクター感染は減少、大腸菌感染も22%減少している。 また、赤痢菌属感染も減少しているが、サルモネラ感染では増加を示した。病原性大 腸菌O-157感染で特に心配される併発症の一つがHUS(溶血性尿毒症症候群)。

O-157は、家畜などの糞に混じり屠殺過程で肉の中に入り込むと考えられている。 また、同病原菌はミルク、乳製品、果物製品並びに低温殺菌処理がされていない ジュースなどからもよく検出される。

米国でもO-157感染で毎年250人が死亡すると見られている。国内でO-157によるHUS が話題になったのは1993年。ファーストフード店でハンバーガーを食べたことにより感染、 子供4人が死亡、500人が何らかの症状を起こした。

その後、アップルジュースからの大規 模感染も起こっている。HUSの併発は8歳以下の子供に多いが、特に乳児から2歳までの 年齢層が多数を占めている。烈しい嘔吐、下痢を起こし、時として筋肉のひきつりなども 伴う。さらに腎機能障害を起こし、低い年齢では死に至るケースが多い。

バクテリアを殺す電子ビーム技術的など開発進む

O-157への予防・治療を視野に入れた研究は様々な分野から盛んに行われているが、 1998年遺伝子指紋(genetic fingerprint)によるO-157検出法(PFGE)が開発さ れている。紫外線の下でDNAに蛍光染料を照らし、そのタイプを見分けるというも の。

また、1999年11月にアイオワ州立大学などの研究者グループが発表した技術は、 物質の成分や香りなどを変えないでバクテリアを殺す電子ビーム技術。この技術は新 しいものではなく、1995年ごろから急速に開発研究が盛んになった。

ビームがO-157に当たると、そのDNAに働きかけ不活性化してしまう。ただ、この技術は 肉類など固体のものへの応用は利くが、液体への利用は制限されてしまう。そのため、 様々な形態への応用を可能にする研究や酸性に強いO-157に対する水溶性多乳酸 (SPLA)を使った技術研究などが進行中である。

さらに2000年になってカナダの研究 者グループは「O-157抑制分子」を発表している。これは、10本の「手」と5肢を持っ た分子で、毒性物質が体の細胞と結合してしまう前にこれをつかみ体外へ導くよう作 られている。「触手」をたくさん持っていることから「starfish」とも呼ばれる。試験管内で の研究では、starfishが毒性物質と結合する強さが他の抑制物質より100万〜1千万倍 ともいわれる。

エキナセア、ゴールデンシール、ガーリックなどの抗菌、抗バクテリア作用が期待

病原菌による疾患への対応では普通抗生物質が使われるが、間違った使用や使いす ぎの結果抗生物質に耐性のある病原菌がはびこるようになった。また、病原菌への攻 撃ばかりでなく体に必要な菌も一緒に殺してしまうことから、自然療法専門家からは その濫用を警告する声が挙がっている。

そうした中、自然界の抗生物質ともいえる抗菌、抗バクテリア作用を示すハーブや栄 養素などに関心が高まり盛んに研究が行われている。例えば、抗バクテリア作用が指 摘されるハーブには、エキナセアやゴールデンシール(アジサイ属ユキノシタ科)が 有名。ゴールデンシールに含まれるアルカロイド・ベルベリンが活性成分だと考えられ ている。

この他に―― 1)オレゴン・グレープ・ルート/活性成分はベルベリン。根茎からとれるアルカロイドが バクテリアの増殖を抑える 2)グレープフルーツ・シード・エキス/カビやバクテリアに有効、防腐作用を持つ 3)ガーリック/活性成分のallicinがバクテリアの抑制作用を行う――などがある。

スパイスに食中毒を防ぐ役割

さらに、Gut誌1998年7月号に掲載された研究(メイン大学)によると、パイナップルに 含まれる酵素が大腸菌感染による下痢症状を予防するという。腸の壁に大腸菌が付着 するのをBromelainと呼ばれる酵素が阻止すると考えられているが、この酵素の効き目 は30時間ほどだという。

また、カンサス州立大学研究者グループはスパイスが食中毒を防ぐ武器になるという 研究報告を発表している。研究者は半生状態に調理されたハンバーガーミートを使い、 O-157に対するスパイス24種の有効性を調べた。これによると、最も抑制効果が高か ったのはクローブ、その後シナモン、ガーリック、オレガノ、セージと続く。また、培養 O-157を注入したサラミソーセージに、クローブ、シナモン、ガーリックのミックスを7.5% 加えたとき、病原体は99%消滅したという。さらに、O157以外サルモネラ菌などにも 有効性が見られたという。

発酵乳が免疫システムを強化

ヒトの体には常時、「悪玉」のバクテリアと「善玉」のバクテリアが住み着いている。この 「善玉」バクテリア、probioticsを調べる研究が盛んだ。代表的なものには、主に小腸 にあるLactobacillus acidophilus(好酸性乳酸桿菌)と大腸にあるBifidobacterium bifidum(ビフィズス菌)が有名。

これらは、大腸菌などの活動を抑制することはすでに知られているが、同時に「悪玉」 バクテリアに対抗する免疫システムを強化することも指摘されている。ある研究では、 健康体成人28人に1)「善玉」バクテリアの入っていない発酵乳2)L.acidophilus入り の発酵乳3)B.bifidum入り発酵乳の1つを与え、白血球の活動状況を調べたところ、 注入された大腸菌を攻撃する白血球の割合が、2)、3)グループで40〜80%増大し たという。

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