女性はとかくワキガで悩みがちですが、これを男性目線から少し考察したいと思います。はたして男性はこれをどう感じているか、はたして嫌悪しているのかということですね。というのも、男性は女性のワキガにクラクラするからです。ただし、「良くも、悪くも」という話ですが・・・。
その前に、男なんか関係ないわよ、とにかくワキガをキレイさっぱりなくしたいの、ということですと、まずは「ワキ脱毛ではワキガは消えない」ということをお伝えしなければいけません。
正確には、ワキ毛の脱毛処理だけではワキガ(腋臭)は完全には消えない、ということです。ワキ毛ボウボウで、そこに臭いがこもっていて、という場合は、ワキ毛の脱毛処理で臭いは薄くはなりますが、完全にワキガを断つことはできないということですね。
というのも、ワキガ発生の直接的な原因は、ワキの下にあるアポクリン腺、エクリン汗腺、皮脂腺によるものだからです。
もう少し詳しくいうと、こうした汗腺に脂肪分解物や細菌が絡んだものがワキガ臭ということになります。そのため、ワキガを完全に無くすためには、ワキの下のこれらの汗腺の切除や吸引など特殊な外科的処置を施す必要があります。
ワキガの発生のメカニズムはこういうことです。
まず、皮膚は上部から表皮(0.1〜15mm)、真皮(1〜2mm)、皮下組織の三層構造から成っています。真皮内にエクリン腺、皮脂腺が存在します。そして皮下組織にワキガ臭の発生源であるアポクリン腺が存在します。
アポクリン腺はワキの下、生殖器(外陰部)、乳首、へその周り、耳の穴の中、肛門部の周辺にといった箇所に存在します。これらはとくにヒトの性的アピールに関わる部位ですが、なぜ、こうした所にアポクリン腺が存在するのかは後でお話しましょう。このアポクリン腺からは脂肪分や鉄分、蛍光物質、衣類の汚れの原因となる色素などが分泌されます。
エクリン腺は唇や亀頭以外の体全体に分布しています。皮膚の比較的浅い箇所にあり、手のひらと足の裏に最も多く存在します。このエクリン腺から分泌されるものの99%が水分、あとは塩分や尿素、アンモニアなどです。エクリン腺から出る汗は臭いはありませんが、皮下組織のアポクリン腺から出る分泌物をエクリン腺からの汗が薄め、ワキガ臭として発散させます。
また、アポクリン腺以外にワキガの発生源として、皮脂腺からの分泌物も関わっています。皮脂腺は硬い毛の存在するところにありますが、ここからさまざまな脂肪酸が分泌され、酸化して過酸化脂質に変わり、悪臭を発するようになります。
ところで、ワキの下には片側だけでおよそ800本のワキ毛が生えていますが、それぞれが汗腺とともにありますから、脂肪分解分泌物と適度な湿り気で細菌の繁殖には最適で、細菌の巣窟といっていいような状態になっています。
つまり、ワキガとは、アポクリン腺や皮脂腺からの分泌物の脂肪成分の臭いや、細菌の脂質分解酵素による臭いが複雑に絡み合ったもので、それをエクリン腺からの汗が周囲に発散させているということです。
ワキガは体臭とも関連しますが、日本は西欧人に比べワキガが少ないといわれています。これには、食事が大きく関係しています。西欧人は肉食を中心とする動物性食が多く、脂肪分を多く摂っています。こうした脂肪分が酸化し、過酸化脂質となりワキガの悪臭の原因となります。
ですから、ワキガの臭いを根本から改善するためにはまず「食事」を正す必要があります。欧米型の食事ではなく、日本食のような穀菜食中心の食事がワキガ対策には良いといえます。
動物性タンパクを多く摂ると、腸内環境が悪くなり、悪玉菌が繁殖しがちです。こうしたことも体臭を悪化させることに拍車をかけます。
赤ちゃんはとても良いニオイがしますが、これは腸内にビフィズス菌のような善玉菌が多く存在するためです。悪臭といわれる加齢臭は、年齢ととも腸内環境が悪玉菌で占められるようになることと関連しています。
ところで、女性で、とくに夏場の薄着になる季節、周囲にワキガ臭を振りまいているのではないかと心配の方も多いのではないでしょうか。
ワキ脱毛も当然、ワキガ対策にはなります(もちろんそれまで、ワキ毛が多かった場合ですが)。ただ、ワキガ臭を完全に消したい、肉や脂肪分たっぷりの食事もしたい、ということですと、ワキガの発生に関わる3つの汗腺、アポクリン腺、エクリン腺、皮脂腺を根こそぎ断つしかありません。実際にこの3つの汗腺を外科的処置で削除するとワキガ臭は二度と発生しないといわれています。
そうしたことで、アポクリン腺からも、ワキガからも完全に開放されてスッキリさわやかということになります。ただ、そこで一つ問題が生じるとすれば、異性を引きつけつる魅力も同時に失うかも知れない、ということです。
なぜアポクリン腺が、ワキの下や生殖器(外陰部)、乳首、肛門部の周辺といった特定の部位にしか存在しないのか----。
これについては、アポクリン腺が生殖のために異性を誘うコミュニケーションの手段として存在していた。つまり、アポクリン腺は、異性への性的アピールのためのフェロモンを発する芳香腺の役割をしているのではないかということが考えられているのです。
実は、アポクリン腺の働きは思春期から活発になり、30歳代がピークで、その後は衰退していくといわれています。こうしたことからも、アポクリン腺が異性を引き寄せるために備わったものと考えられても不思議ではありません。かの中国の楊貴妃がワキガで唐の玄宋皇帝を籠絡したというは有名な話です。
エステのワキ脱毛ではワキガの発生源であるアポクリン腺の処置まではできませんが、ワキにはアポクリン腺が多く集中しており、フェロモンを発生していることを考えればむしろそのほうがいいともいえそうです。
ワキガ臭があまりに強いということであれば、外科的処置が必要かも知れませんが、軽いものであればむしろセックスアピールになります。
欧米ではある程度体臭がある人のほうが異性にもてるといいます。ちなみに、10人のうち8,9人がワキガ体質といわれているそうです。食事がワキガや体質に深く関係していることもありますが、日本ではワキガ体質は10人に1人といわれています。
ところで、欧米では、体臭やワキガは異性を引き寄せるために、天から授かったアクセサリーとまで考えられているそうです。そう考えると、むやみにワキガノイローゼに陥ることもありません。
それよりもワキガの元となる肉食など脂肪分たっぷりの動物性食の摂り過ぎを改めることのほうが、生活習慣病などの対策も含め先決といえそうです。
