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緑茶ポリフェノール、乳がん罹患との関係認められず
〜厚生労働省研究班、10年半におよぶ追跡調査

近年、緑茶ポリフェノールのカテキンにさまざまな疾患予防の有用性が報告、日本だけでなく米国でも研究が盛んに行われている。緑茶カテキンについては、これまでに結腸がんや糖尿病へのリスク軽減などが報告されている。今回、厚生労働省研究班が、緑茶ポリフェノールと乳がん罹患との関係についての10年半におよぶ追跡調査の結果を公表した。

40-69歳の女性、約2万5000人を対象に調査

調査は、1990-1993年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、大阪など10都府県に在住の40-69歳の女性約2万5000人を対象に、2002年まで追跡調査(期間中、144人が乳がんを発生)した。

研究では、緑茶ポリフェノールの4種(エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン3ガレート(EGCG)、エピカテキン3ガレート(ECG))の血中濃度により3グループに分けた。結果、どの緑茶ポリフェノールも、濃度が高い群で乳がんリスクの低下が見られなかった。アンケートによる閉経前・閉経後の分析調査でも同様の結果が出たという。

今回の研究では、緑茶と乳がん罹患のリスク低下との関係は認められないという結果となったが、緑茶のがんリスク低下については、結腸がんの死亡率低下についての報告もある。
岡山大学の研究で、日本在住の65-84歳、12,251人を対象に、緑茶摂取と病死による死亡率との関連を分析したところ、緑茶を7杯/日以上飲む群は1杯未満の群に比べ、あらゆる原因による死亡率が55%、心血管系疾患では75%低下していることが分った。

がんについては結腸がんの死亡率が低くなっていたという。

また、動物実験で、University of South Carolina研究者グループらが、生後8週間のマウスを2グループにわけ、それぞれ水か、緑茶溶液(0.6%)を4〜8週間与えたところ、緑茶グループでは、結腸の新しい腫瘍形成が目立って抑制されたことが分かった。ただ、既にある大きな腫瘍に対して影響は見られなかったという(Carcinogenesis誌)。

緑茶の疾患予防については、大阪大の磯博康教授らが、40歳-65歳の男女(糖尿病、ガン、心臓病に罹患していない)、1万7,413人を対象に追跡調査(5年間で444人が糖尿病を発症)で、緑茶を1日6杯以上飲む人は週1杯未満の人に比べて糖尿病の発症が33%少ないことが判ったと報告している。

また、高齢者の鬱的症状の軽減に緑茶が有用であることも報告されている。
東北大学の研究で、軽度から重度の鬱的症状を呈する地域在住高齢者(70歳以上)1,058人を対象に緑茶摂取との関連性を調べたところ、緑茶を1日に1杯未満摂取する群に比べ、4杯以上摂取する群では、鬱的症状の発現が44%減少していることが分ったという。

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