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ビタミンD、認知力やうつ症への関与など多彩な効用
日光で体内合成、健康な骨形成に欠かせない栄養素

食品添加物として多用されているリン。インスタント食品などにも多く含まれ、現代人はとかく過剰に摂りがち。リン過剰で懸念される疾患に、骨粗しょう症や慢性腎不全などがある。リンとカルシウムの摂取比率の理想は1:2、リンの血中濃度が高まると、カルシウムが不足する。ビタミンDは、リンとカルシウムの濃度を正常に保ち、現代人の健康維持に欠かせない栄養素となっている。

骨形成に欠かせない栄養素

ビタミンDは脂溶性ビタミンで、タラ肝油(茶さじ1杯/1,360IU)、調理済みサーモン(100g/360IU)、調理済みサバ(100g/345IU)、イワシの缶詰・オイル漬け(100g/270IU)、ウナギ(100g/200IU)など、油分の多い魚に多く含まれる。

また、日光を浴びることでも、ビタミンDの体内合成が促進される。太陽の照射時間が短い北欧などでは、ビタミンDのサプリメント摂取が薦められているほどだ。

ビタミンDは、血中のカルシウムおよびリン濃度を正常に保つ作用がある。カルシウムの吸収を助け、強い骨を形成し維持する。ビタミンDが無いと、骨は薄くもろく壊れやすくなる。ビタミンDは子どものくる病や成人の骨軟化症を予防する。

乳幼児の時にビタミンDを補給すると、その後、骨のミネラル密度が増加するということも報告されている(The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌'00/12月号)。
スイスの研究グループが、誕生後1年の間にビタミンD補給を受けた7歳から9歳までの女子91人を調べたもので、補給を受けなかった女子15人に比べ、補給を受けた女子の身体の5部位でミネラル密度が高いことが分かったという。

ビタミンD補給による骨折率の低下についても、フランスで3,270人の高齢女性にカルシウムに加えビタミンD800IUを毎日与えたところ、2年間で腰骨の骨折が43%減少したという報告もある。

カルシウムとビタミンDの併用は骨密度改善に有効

最近の報告では、カルシウムとビタミンDの併用は骨密度改善に有効であると、Osteoporosis International誌10/11月号に掲載されている。

フィンランドの研究者グループによるもので、66歳から71歳の女性3,432例を対象にしたOsteoporosis Risk Factor and Prevention-Fracture Prevention Studyを用いた研究を行った。

研究者らは593例のBMD(骨ミネラル密度)を測定し、半数にはビタミンD(800 IU)とカルシウム(1000mg)を3年間与えた。残り半数の対照群は何も与えずに経過を見守った。

結果、ビタミンD+カルシウム投与群はBMDが0.84%増大したことが分かった。一方、対照群は0.19%だった。ただし、腰椎、大腿骨頸部、大腿骨転子、大腿骨近以部では有意な変化は認められなかったという。

D不足、認知力低下やうつ症のリスク増に関与

ビタミンDについては、近年研究が盛んに行われ、多彩な効用が明らかになっているが、血中のビタミンD濃度が低くなると認知力低下につながることを、Neurology誌10/12月号が報じている。

Angers University Hospital研究者グループによるもので、ビタミンDサプリメントを摂取していない女性5,596人を週ごとのベースライン状況に基づき、ビタミンD摂取量が不十分(35マイクログラム/週未満)か、適切(35マイクログラム以上)の2群に分け、認知度を測るSPMSQスクリーン検査を行った。
結果、不十分群は適切群に比べ、SPMSQスコアが低いことが分かった。不十分群では、SPMSQスコアは平均8未満だったという。

また、ビタミンD不足がうつ病のリスク増大に関連するという報告もある。
International Archived of Medicine誌10/12月号に掲載された記事によると、Georgia State Universityなどの研究者グループがUS National Health and Nutrition Examination Surveyのデータを分析し、15〜39歳の7,970人を対象に血中ビタミンD濃度とうつ病との関連性を調べた。

結果、血中のビタミン濃度が50ナノモール/L以下では75ナノモール/L以上に比べ、うつ症状を呈するリスクが85%増大していることが分かったという。

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