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ディーゼル車の排ガス規制で脳卒中死亡率8.5%減少
排ガス微粒子PM2.5(スギ花粉の10分の1)の健康影響

大気汚染による健康影響が懸念されているが、中でもディーゼル車による排気ガスは喘息や花粉症の要因と指摘されてきた。都ではこれに対し具体的な施策を2006年より施行したが、その結果、脳卒中の死亡率が8.5%減少したことが分かったという。

排気ガス中の粒子状物質、呼吸器疾患や発ガン、花粉症など健康に影響

東京都では、2006年4月より、「粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質の発生に、ディーゼル車の排出ガスが大きく影響している」とし、ディーゼル車走行における新規性(「粒子状物質排出基準の遵守等〜ディーゼル車の排出ガス規制〜第条37」)を施行した。対象地域は島しょを除く都内全域。違反者には公表や罰則(50万円以下の罰金)が課せられた。

6月26日付けの朝日新聞によると、都がこうしたディーゼル車の排気ガス規制を強化した2006年を境に東京都区部で脳卒中の死亡率が8.5%減ったことが岡山大の研究チームの推計で分かったという。

都では排気ガス中の粒子状物質(PM)が、呼吸器疾患や発がん性、花粉症など健康に影響を与えるとしているが、岡山大の頼藤貴志准教授(環境疫学)らの研究チームが(スギ花粉の10分の1程度の)ごく小さな粒子であるPM2.5の大気濃度による健康影響を検証した。

研究では、都がディーゼル車規制を強化した06年4月の前後33年に渡り、都が測定している濃度と、都区別での脳卒中死者数を1日ごとに調べて比較した。

その結果、PM2.5は2002年に1立方メートルあたり27.5マイクログラムだったが、2009年には15.9マイクログラムまで減少しており、脳卒中による死亡者は、

規制強化前33カ月間は2万460人、強化後33カ月間は1万9728人で脳卒中による死者は規制強化後に8.5%低下したことが推計されたという。

排気ガス、活性酸素発生でさまざまな疾患を引き起こす

ディーゼル車はPM2.5のようなディーゼル小粒子、化学物質を排出する。さらに排気ガスには一酸化窒素、二酸化窒素、オゾンなどの有害物質が大量に含まれている。これらの吸引により細胞内でさまざまなフリーラジカルが発生する。

人は呼吸で酸素を取り入れ、細胞の中のミトコンドリアでエネルギーを作り出す。しかし、その際に、全ての酸素が消費されず約2〜3%が残る。こうしてフリーラジカルが発生する。フリーラジカルは瞬間的に生まれ消えていく原子や分子で、絶えず細胞膜や遺伝子DNAなどを攻撃する。人は呼吸している限りフリーラジカルの攻撃を受け続け、正常な細胞は老化を辿ることになる。

ミトコンドリアでのエネルギー産生の過程で生じる酸素由来のフリーラジカルがスーパーオキシドラジカルとヒドロキシルラジカル。この他、紫外線など浴びた際に出来る一重項酸素。水素や酸素が結合した過酸化水素がフリーラジカルの中でも反応生が高い。

脳卒中はガン、心臓病に続き日本人の死亡原因の第三位である。脳卒中の一つである脳梗塞は血栓が脳動脈に詰まる症状だが、動脈硬化によりもたらされる。この動脈硬化を促進させる原因の一つがフリーラジカルである。

他にも活性酸素が関わる疾患には、白血病、アルツハイマー、パーキンソン病、白内障、心筋梗塞、不整脈、脂肪肝、腎炎、腎不全、尿毒症、糖尿病、アレルギー、多臓器不全などがある。

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