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日本で増加の「痩せ型糖尿病」にどう対処するか
日本は「痩せ」の国、しかし糖尿病ランキングでは世界6位
2014年8月22日(金)、パシフィコ横浜で、「第61回日本栄養改善学会学術総会市民公開講座」が開催された。この中で、家森 幸男氏(武庫川女子大学 国際健康開発研究所 所長)が、「和食で健康寿命を延ばすには〜地球を巡ってわかった大豆のパワー」と題し、和食の健康効果について講演した。
糖尿病に「倹約遺伝子」が関与、対策に大豆が貢献
厚生労働省の「2012年国民健康・栄養調査結果」によると糖尿病と糖尿病予備軍を合わせると2,050万人になるという。国民の5人に1人が該当する割合だ。 日本人の糖尿病の95%以上が、肥満や運動不足が原因のU型糖尿病がといわれている。そのため、まずは肥満対策とされてきたが、では「痩せ」ならいいのかというと、単純にそういうことでもないようだ。 というのも、日本人の肥満度は世界的に見ると166位と非常に低い、むしろ「痩せ」の国である。ところが、糖尿病ランキングは6位である。 つまり、日本人の糖尿病の特徴は「痩せ型の糖尿病」で、これは日本人の多くが「倹約遺伝子」を持つため、ということが明らかになりつつある。加えて、日本人は欧米人に比べて、遺伝的にインスリンを分泌する能力が低い。 こうした「倹約遺伝子」により、日本人の「痩せ型の糖尿病」が激増しているが、大豆には、倹約遺伝子を持つ日本人が陥りやすいU型糖尿病を防ぐ力を秘めていることが明らかになりつつあると家森氏。ただ、近年若者をはじめとして大豆離れが進んでいることが懸念されるとした。 「痩せ型の糖尿病」、原因の一つに筋肉内の脂肪筋
「痩せ型の糖尿病」については、筋肉内に溜まる脂肪筋も原因の一つと指摘されている。 この中で、田村氏は、これまで糖尿病の問題点であるインスリン抵抗性の原因は肥満によるものと考えられてきたが、実は脂肪筋のほうが直接的な原因であることが近年解明されつつあるとした。 脂肪筋とは筋肉内に溜まる脂肪のことだ。例えば、「痩せ型の糖尿病の人」と「痩せ型の糖尿病でない人」を比較すると、前者のほうが脂肪筋が平均して2倍以上高いことも分かっている。 日本人は脂肪筋になりやすい ある実験で、太らないように糖質(炭水化物)とカロリーを制限した高脂肪食(例えばごはんの極端に少ない焼き肉定食)を3日間食べてもらったところ、最高で40%脂肪筋が増えるケースもあったが、脂肪筋が増えた人のほうがインスリンの抵抗性が弱くなり、糖尿病のリスクが高くなったという。 日本人は脂肪筋になりやすい民族であることがわかっている。脂肪筋になりにくくするためには、やはり運動が大切だと田村氏はいう。 例えば、普段多動(たくさん歩いたり動いたりしている)の人は、高脂肪食を摂っても脂肪筋になりにくい。具体的な数値で、1日の歩数が2,000歩以下の人は脂肪筋になりやすい。1日1万歩を超える人は脂肪筋になりにくいという。 大豆イソフラボン、心臓病のリスク低下や美肌に貢献 ところで、家森氏はU型糖尿病を招く「倹約遺伝子」対策で大豆が有用とするが、大豆にはさまざまな効用がある。とくに大豆に含まれるイソフラボンは更年期障害の緩和に有用とされている。また大豆の摂取で閉経後の血圧上昇が抑制されることも明らかになっている。 ラット実験で、ラットの卵巣を取り除き閉経状態にすると、ラットは高血圧状態になるが、卵巣除去ラットにイソフラボンを加えた餌を与えた場合とそうでないコントロールラットを比較した場合、イソフラボン摂取のラットは血圧の上昇が抑制されただけでなく、心臓病の発症率も低下したというデータが得られているという。 世界60地域における尿の調査も行われているが、イソフラボンの摂取が多い中国や日本といった地域では心臓病の発症率が優位に低いことが明らかになっていると家森氏。これはイソフラボンに血流を促進させる作用があるためで、各臓器や全身に血液がスムーズに循環してることと関係しているのではないかという。 また、イソフラボンの摂取量が多い地域の女性は肌が美しく、同時に長寿で、日本人女性の肌は世界的にみても美しいとされるが、これは大豆食品を豊富に摂っているからであろうと家森氏。しかしながら、一方で大豆離れも進んでおり、長寿や美肌、心臓病などへの影響が懸念されるとした。
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