HOME > バックナンバー > 14/10月記事

「プラントベースのホールフード」で病気を遠ざける
ジェームズ・キャメロン監督絶賛の映画『フォークス・オーバー・ナイブズ』の邦訳本刊行

10月5日(日)、大井町きゆりあん大ホールで、自然健康・治癒学博士で、日本ナチュラル・ハイジーン普及協会会長の松田麻美子氏が「スリムで病気にならない体づくりを可能にする究極の健康戦略〜ナチュラル・ハイジーンの知恵とは」(主催:晦MZ)と題して講演を行った。

野菜・果物、穀類、木の実など未精製のまま丸ごと摂る

幼い頃からさまざまな健康上のトラブルを抱えていたという松田氏。それが26年前、一変した。ナチュラル・ハイジーンと呼ばれる健康法と出会い、エネルギーに満ちあふれるような身体になり、病気と無縁となった。

ナチュラル・ハイジーンとは、「自然」と「衛生」を組み合わせた言葉で、「健康および健康維持のための科学」の意。1830年代に米国の医師らが体系づけた「自然と調和した生き方」に基づく健康理論で、食においては、「プラントベースでホールフード」を推奨する。すなわち、肉や乳製品を一切摂らない、野菜・果物、穀類、木の実など未精製・未加工のものを丸ごと摂る、ということ。

ナチュラル・ハイジーンでは、午前は排泄の時間とし、果物を中心に摂り、午後と夕刻はプラントベース&ホールフードの食事をする、としている。夜の食事は20時までに済ますと翌朝はすっきり起きられるという。また、動物性食品は野菜と合わせて摂ること、豆類を十分に摂ることなどを薦めている。

講演の中で、松田氏は、誰もがスリムで健康でいられるが、多くの人が「正しい身体の扱い方」を知らない、さまざまな身体のトラブルは体内が清潔でないことのサインと指摘。

「自然と調和して生きること」が大切だが、私たちは、空腹でなくても食べ、不要なものを体内に取り込み、肥満や便秘、花粉症、肌荒れ、メタボなどを招いていると述べた。

牛乳や肉食の弊害

例えば、牛乳は子牛の飲み物だが、地球上のあらゆる動物の中で、人間だけが他の動物のミルクを飲んでいる。牛乳は高脂肪・高タンパク質ではあるが、抗生物質や環境汚染物質などが含まれ、さまざまな疾患の誘引にもなっている、と松田氏は警鐘を鳴らす。

また、肉の摂食についても、肉食動物の唾液は酸性で、肉の分解には適しているが、人の唾液はアルカリ性のため、炭水化物のほうが適していると指摘。

人は肉食動物と違い強い胃酸が分泌されていないため、肉の消化は大変で、体内に滞留した肉は匂いのきつい体臭や便、毒素となり体を蝕む原因になると松田氏は問題点を挙げる。

「人は肉食をはじめるようになって寿命が伸びた」とよくいわれるが、日本人は、ほとんど肉を食べていなかった1947年〜1955年の8年間に14年も寿命が延びている。しかし、肉の摂取量が急激に増加していった1965年から2011年の間でも寿命が12年伸びているものの、こちらは46年間もかかっているという。

平均寿命が延びた最大の理由は、食の欧米化や肉の摂食からではなく、水道が整備され、赤痢や疫痢といった感染症が減り、幼児の死亡が減少したこと、また抗生物質が容易に使えるようになったことなどを松田氏は挙げる。

映画『フォークス・オーバー・ナイブズ』から学ぶべきもの

では、私たちの健康に最適な「食」とはどういうものなのか?
それにはまず人間とほぼ同様の消化器官を持つチンパンジーを見習うべき、と松田氏。チンパンジーは果食動物で、摂っている物がほぼプラントベース(植物性食品)&ホールフード(未精製・未加工食品)。

人間も体の構造を考えるとプラントベース&ホールフードの食事が適しているし、必要な栄養のすべてが摂れ、肥満や病気を遠ざけることができる、と松田氏は強調する。

そうした、プラントベース&ホールフードの食事で多くの人々が疾患を免れていることが米国で立証されている。代表的なものでは、二度におよぶ心臓発作から回復したクリントン元米国大統領の例がある。

2011年5月、『フォークス・オーバー・ナイブズ』というドキュメンタリー映画が米国とカナダで公開された。(「フォークス・オーバー・ナイブズ」とは「食事は手術に勝る」の意)

大ヒット映画「タイタニック」や「アバター」で知られる、ジェームズ・キャメロン監督はこの映画を観て、「すぐにキッチンの動物性食品を片付けた。以来5カ月半、ずっと菜食を続けている」と語ったという。

クリントン元米国大統領はこの映画の元になった栄養生化学博士のT・コリン・キャンベルと医学博士のコールドウェル・B・エセルスティンの著書を読み、プラントベース&ホールフードの食事を実践、3カ月ほどで24ポンド(約11キロ)減量し、心臓発作のリスクが軽減した。それをCNNをはじめとする各メディアが報じ話題となった。

この映画の解説本は「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストセラー・リストで第1位になったが、このたび同書の邦訳版『超医食革命』がグスコー出版より刊行された。

アップルの創業者のスティーブ・ジョブズ氏は果実食主義者として知られるが、同書の巻末で「スティーブ・ジョブズは、なぜ56歳の若さで死んだのか?」と題し、松田氏も見解を寄せている。


ヘルスネットメディア


Copyright(C)GRAPHIC ARTS CO.,LTD. All rights reserved.