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納豆に含まれるナットウキナーゼ、血栓防止に貢献
〜アルツハイマー病の防止、日頃からの納豆の摂食が有用

2018年5月16日(水)〜18日(金)、東京ビッグサイトでifia JAPAN/HFE JAPAN2018「第23回国際食品素材/添加物展・会議と第16回ヘルスフードエキスポ」が開催された。同展示会のセミナーで、須見 洋行氏(倉敷芸術科学大学 名誉教授)が納豆に含まれる酵素、ナットウキナーゼの血栓溶解や認知症防止の有用性などを語った。

血栓溶解で納豆に勝る食べ物はない

ifia JAPAN/HFE JAPAN2018「第23回国際食品素材/添加物展・会議と第16回ヘルスフードエキスポ」では食品メーカーや原料サプライヤーが一堂に介した。

「明日の食を創造する技術者の祭典」をテーマに、食の安全・科学ゾーン、味と香りの提案ゾーン、海外進出応援ゾーン、良食体験ゾーンなどの専門ブースが設置、359社が出展し、来場者数約3万3000人が見込まれた。

出展者によるプレゼンテーションセミナーでは、納豆に含まれる酵素、ナットウキナーゼの発見者として知られる須見 洋行氏(倉敷芸術科学大学 名誉教授)が「アルツハイマー発症は防げるか」と題してナットウキナーゼの最新の知見を述べた。

須見氏は「納豆博士」としてよく知られる。1980年に氏が米国・シカゴで血栓症の研究をしていた際、シャーレの中の血栓に、遊び心で納豆を直接乗せたところ、納豆に強力な血栓溶解酵素があることが分かった。

それが、納豆のナットウキナーゼに血栓溶解作用があることを発見したきっかけだった。
その後、さらに研究を重ね、1986年に日本で初めて、ナットウキナーゼの研究成果を発表。世界中の200以上の食品を調べたが、血栓溶解作用で納豆に勝るものはなかったという。

納豆の健康への有用性は昔から広く知られている。江戸時代には、納豆が「毒を消して食をすすめる(抗菌性)」とされ、実際に、食中毒防止、コレラや赤痢などの予防に納豆が利用されたという歴史もある。

また、腸内の有害菌を抑え、有用菌の繁殖を高めるプロバイオティクスの働きで、整腸効果があることもよく知られている。さらに近年では、超高齢化社会の到来により増加する、認知症、脳梗塞や心筋梗塞の予防食材としても注目されている。

アルツハイマー症防止に、ナットウキナーゼが有望

講演で、須見氏は、ナットウキナーゼは、血栓の主成分であるフィブリンに直接働きかけ分解する、血栓溶解酵素のウロキナーゼの前駆体を活性化する、さらに血栓溶解酵素を作り出すt-PA(プラスミノゲン活性化因子)を増やすなど、血栓に複合的にアプローチするとした。

そのため、納豆を日頃から摂食しておくと脳血管性認知症の予防になることは十分考えられるとした。

実際に、認知症の大半を占めるアルツハイマー症は脳の神経細胞に沈着する老人性色素斑(アミロイドβ)が原因と考えられているが、ナットウキナーゼがアミロイドβを分解する働きがあることが各国の研究でも報告されているという。

さらに、体内にもともと存在するt-PAという酵素は、プラスミノゲンという血栓を溶かす物質を増強させるが、ナットウキナーゼによって活性化されるため、日頃から納豆の摂食を心がけておくと良い、とした。

骨粗しょう症予防など、納豆の健康効果

他にも、納豆の健康効果は数多くあるが、納豆に含まれるビタミンK2の骨粗しょう症予防についてもよく知られる。 60歳以上の女性の約60%が骨粗しょう症にかかるといわれるが、疫学的調査でも、骨粗しょう症の人はビタミンK2が減っていることが分かっている。

骨にカルシウムが結合する際、オステオカルシンというたんぱく質が糊の役目を果たす。そうしたたんぱく質を作る際、ビタミンK2が必須であるということが分かっている。

ビタミンK2は化学名ではメナキノン7と呼ばれるが、骨粗しょう症の人にはメナキノン7が少ないということも分かっている。

納豆1パック(100g)には、約1,000マイクログラムのメナキノン7が含まれている。正常な人は1日に体重1キログラムあたり1マイクログラム摂ればいいとされている。体重60kgの人は60マイクログラムのため、10gの納豆で1日分が十分補給できる。

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