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「身体浄化」「細胞活性」で長寿に
〜アーユルヴェーダ、不老長寿の科学

2020年1月28日〜29日、東京ビックサイト青海会場で「Care Show Japan2020」が開催された。この中から、鮎沢 大氏(横浜市立大学 名誉教授)の講演「不老長寿の科学とアーユルヴェーダ」を取り上げる。

「細胞の老化の速度」は個人差

人類の永遠の夢である「健康長寿」について、老化の分子細胞生物学という分野から30年研究を行ってきた鮎沢氏。この研究の過程で、インド5000年の生命科学であるアーユルヴェーダに出会ったという。

「老化=細胞の老化」であるが、「細胞の老化の速度」には個人差があり、個人の食事や睡眠・運動習慣といった生活習慣がかなり係っている。

要は、「若い人=若い細胞が多い人」で「老人=老化している細胞が多い人」ということである。老化した細胞が増えることであらゆる機能が低下、組織も崩壊し、それがさまざまな病気となりやがて死が訪れる。

健康長寿に必要なこと「身体浄化」「正常な細胞の活性」

そして細胞老化の誘引因子になるものが、体内の老廃物と有害物質である、と鮎沢氏。老廃物や活性酸素をスムーズに除去できれば体内で有害物質の発生を抑制できる。また、細胞と生体が浄化された状態であれば、若い細胞が増殖する細胞増殖能を維持することができる。

つまり健康長寿に必要なのは「身体浄化」「正常な細胞の活性」で、アーユルヴェーダによって推奨されていることと一致する、と鮎沢氏。

病気の原因を取り除き、自然治癒力を引き出す

5000年も前にインドで体系化された生命の科学がアーユルヴェーダであり、患部を治癒するのではなく、病気の原因を取り除き自然治癒力を引き出すことを目的とした壮大な医療体系で、現代医学の源泉となるものである。

自然治癒力を高めるために用いるものの一つが膨大なハーブ(植物)で、このハーブ製剤によって身体浄化や細胞の活性が可能となることが実証されているという。

アーユルヴェーダで取り上げられるハーブにはアムラ・ヤツデアサガオ・カンゾウ・アシュワガンダなど著名なものだけでなく、膨大な種類があり、ハーブの組み合わせ方も無限で、複合的な効果が得られる。

アーユルヴェーダで用いるハーブ製剤の多くには以下のような共通した機能や効果、特徴が見られるという。

  • 多彩なポリフェノールが多く含まれる
  • 抗酸化力がずば抜けて高い
  • 線虫の寿命を延長する
  • 血糖値の上昇を抑制する
  • 悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
  • アレルギーの原因となる血中のIgEを増やす
  • 肝機能を改善する
さまざまなハーブを絶妙に組み合わせていくことで、これ以外にも多様な効果効能が期待できるのがアーユルヴェーダの魅力であると鮎沢氏は語る。

正しく利用すれば寿命は400歳まで伸びる

アーユルヴェーダでは「不老長寿」を学問として扱う。不老長寿学のことを「ラサーヤナ(強壮法)」という。ラサーヤナは「すべての病気治療に有益で、若さと知力の維持と強化、病気から免れる方法を扱う学問」とされ、正しくラサーナヤを利用すれば寿命は400歳まで伸びるとしている。

このラサーヤナをベースとしたアーユルヴェーダの実践により、体が調和の取れた状態になることで細胞機能が正常化され、体内毒素が最少となり、生命力が最大限に発揮される。

アーユルヴェーダの実践にはオイルマッサージや食事法、ヨガなども含まれるが、主役はハーブ製剤で、組み合わせのレシピもインド5000年の臨床試験に基づく叡智である。鮎沢氏自身も細胞試験やラット試験などでその伝統ハーブ製剤の卓越した生理作用を検証し驚嘆したという。

ただ、アシュワガンダなどのハーブの使用も含め、アーユルヴェーダの伝統的なレシピは日本の法律に適さないことが多いため、国内外の大学などと協力しながらこれからも情報発信を行ってきたいとした。


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