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パラミロン、免疫調整や疲労軽減作用で注目
〜β-1,3-グルカンの結晶体であることが解明

2020年12月1日(火)、web配信により第二回パラミロン研究会「免疫とパラミロン」が開催された。この中から大野尚仁氏(東京薬科大学名誉教授)の講演「パラミロンの免疫系への作用」を取り上げる。

免疫調整で、キノコや発酵食品が注目

免疫には様々な種類があり、複雑なネットワークによって成り立っている。神経や内分泌系、さらに常在菌の状態とも密接に関わり、相互作用により調節していることが近年の研究から分かってきている、と大野氏。

1980年代に、バイオマス燃料の研究を発端に藻類の研究が進められ、2000年代には藻類が健康食品や医薬品としても利用されるようになった。

そうした中で、特にキノコや発酵食品が注目を浴び、βグルカンの機能性が分子レベルで明確になってきた。

藻類ではユーグレナが特異的に持つパラミロンはβ-1,3-グルカンの結晶体であることなども解明されていった。

βグルカンは主に酵母の細胞壁などにあり、表面がβグルカンで出来ているが、パラミロンは「芯までβグルカン」ともいえる特徴的な構造をしている。

このことから、パラミロンもキノコ類や酵母などが持つβグルカンと同様の免疫賦活機能があるのではないかと注目されるようになった。

βグルカンによる免疫賦活作用、Dectin-1が関係

また、ヒトの体内には感染防御の元となる抗パラミロン抗体が存在していることも解明されている。

これが免疫機能に寄与し、パラミロンを豊富に含んだユーグレナやパラミロンそのものの摂取により免疫機能の向上が期待されるようになった。

パラミロンの免疫(自然免疫)への影響についての研究で、パラミロンは自然免疫受容体の一つであるDectin-1と呼ばれる受容体と結合することが確認できている。

Dectin-1は、マクロファージや樹状細胞などの自然免疫を担う細胞の細胞膜上に発現するβグルカン受容体で、βグルカンによる免疫賦活作用はこのDectin-1が関係していることも解明されている、と大野氏。

他にもヒト臨床試験においてパラミロンの摂取により健康な人のQOLの向上、唾液IgAの上昇などの興味深い結果が多数得られているという。

疲労により健康が損なわれるメカニズム

また、免疫以外にもパラミロンの疲労軽減作用について、機能性表示食品制度において、ユーグレナ由来のパラミロンについては「身体的疲労感を軽減する」という届出表示が受理されている。

パラミロンの疲労感・疲労軽減作用については、2020年11月24日(水)、「パラミロン研究会オンラインセミナー2020」にて、渡辺 恭良氏(理化学研究所生命機能科学研究センター 健康・病態科学研究チーム チームリーダー)が解説している。

疲労で健康が損なわれるメカニズムについては、「精神」「運動」「感染」のいずれかにより「細胞が過活動状態」になると、細胞内で大量にエネルギーが生産・消費され、生体内で処理できない活性酸素が発生する。

これが細胞を損傷させることで、慢性的なサイトカインが生じ、「酸化」「修復エネルギーの低下」「炎症」が起こる。これが疲労の正体であり、健康の脆弱化のメカニズムであることもわかってきた。

パラミロンで、さまざまなヒト臨床試験が行われている。例えば、健康な成人200名を対象に、ユーグレナグラシリスEOD-1株由来パラミロン350mg含有食品を4週間摂取してもらった(ランダム化二重盲検プラセボ対象並行群間比較試験)。

その結果、パラミロン摂取群の方が優位に「日常生活での歩行数の増加」「外出時間の増加」が見られ、「身体的疲労感の軽減」についても優位さが報告された。

また、同じく健康な成人66名を対象に行ったヒト臨床試験で、疲労感の改善についてVAS試験や採血(酸化マーカー)、自律神経測定で調査した。その結果、「疲労負荷作業の能率低下の抑制」「自律神経活動のバランスの早期改善」「潜在的注意力の維持」「抗酸化力の向上」などが確認できたという。


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