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表示して!ゲノム編集食品
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2024年12月6日(金)


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2024年5月21日(火)






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ゲノム編集食品、高まる表示義務化求める声
〜届出は任意、安全性審査なし、消費者に広がる不安

2024年12月6日(金)、日本消費者連盟、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、OKシードプロジェクトによる「表示して!ゲノム編集食品〜地方から国に声を届けよう〜」市民集会が開催された。 ゲノム編集食品の市場流通に伴い、安全性への懸念が高まりつつある。集会では、遺伝子組み換え食品とゲノム編集食品との違い、ゲノム編集食品の表示の義務化など早急に取り組むべき課題が挙げられた。

無表示で流通のゲノム編集食品、実態はブラックボックス化

すでにスーパーやネットで流通しているゲノム編集食品。一体、何が問題なのか?
現在、ゲノム編集食品は7系統の食品が届出されている。遺伝子組み換え食品はほとんどが作物(大豆やトウモロコシ)だったが、ゲノム編集食品についてはトマトやジャガイモの他、マダイ、トラフグ、ヒラメといった魚類も加わっている。

これらは現在、ネットやスーパーで販売され、消費者が直接口にしている。とはいえ、パッケージにゲノム編集が記載されているわけでもなく、消費者のゲノム編集食品の摂食についての認識はほぼ皆無といえる。これらゲノム編集食品への表示はどうなっているのか?長期摂食において安全性に問題はないのか?こうした不安が消費者の間で募るのも当然のことである。

2019年頃より幾つかの自治体がゲノム編集表示の義務化を求める意見書を採択していた。

このことから、山田勝彦衆議院議員(立憲民主党)が消費者庁にゲノム編集の表示義務化についての回答を求めた。その際の消費庁の回答というのが以下のようなものだった。

  • ゲノム編集技術応用食品のうち遺伝子組み換え食品に該当するものについては食品表示基準に基づく遺伝子組み換え食品に関する表示制度に基づき表示を義務付けている。

  • 遺伝子組み換え食品に該当しないものについてはゲノム編集技術を用いたものか、従来の育種技術を用いたものか判別する検査法の確立が困難であり、罰則を伴う表示の義務付けを行うことが難しい。

  • 遺伝子組み換え食品に該当しないものとして届出され市場に流通しているゲノム編集技術応用食品については商品を販売する際にゲノム編集技術を利用した旨について消費者への情報提供に自発的に取り組んでいただいている。

  • この回答に対し、「要は科学的知見で検証できない、ゲノム編集かどうかわからないから表示を義務付けしていないということである。それならそもそも流通させないで欲しい。ゲノム編集食品の事業者には自発的に届出をやってもらっているというが、自発的ではなく、義務付けにすべきではないか」と山田氏。

    日本消費者連盟で、2019年にゲノム編集食品の表示を求める署名活動を行ったところ、半年で44万を超える署名が集まった。この署名を消費者庁に提出したが、「流通している最終製品においてゲノム編集されているかどうか判らないため表示の義務化はできない」との回答だったという。

    現在流通しているゲノム編集食品について、消費者は知ることも選ぶこともできない、もはやゲノム編集食品はブラックボックス化の様相を呈しているというのが現状だ。

    2024年秋の衆議院選挙の際、日本消費者連盟はゲノム編集食品を含む遺伝子操作食品に表示が必要かについてアンケートを行った。結果、8政党から回答があり、5政党から社会的検証をとり入れて食品表示制度を抜本的に改善すべきとの返答だったという。

    はたして、ゲノム編集表示の義務化は可能なのか。「食品表示に関する問題を解決するための議員連盟の立ち上げを超党派で検討している。ゲノム編集の食品表示を義務付けさせる議員立法を検討していきたい」と山田氏は語った。

    ゲノム編集食品、安全性の審査がなく届出も任意、動物実験は未実験

    あらためて、ゲノム編集食品とはいかなるものか?遺伝子組み換え食品との違いは?遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの原英二氏が講演した。

    以下、遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン!原英二氏資料より

    遺伝子組み換え技術は他の生物の遺伝子を作物などの遺伝子に組み込み、除草剤への耐性をもたせる。ゲノム編集技術は標的となる遺伝子を壊し、標的遺伝子の機能をなくす、標的遺伝子と反対の性質を促す。

    ゲノム編集技術とはどのようなものか。
    ・遺伝子操作したい位置にガイドRNAで制限酵素(DNAを切る酵素)を誘導し、DNAを切断する技術
    ・遺伝子の挿入(置換)も可能(遺伝子組み換えの扱い)
    ・比較的容易に、遺伝子組み換えにより効率よく遺伝子操作が可能

    安全性についてはどうか。
    遺伝子組み換え食品は遺伝子操作の過程で想定外の変化で有害物質ができる可能性がある。ゲノム編集食品は標的外の遺伝子破壊(オフターゲット作用)、操作の過程で想定外の変化が起きる可能性がある。

    現在、ゲノム編集食品は安全性の審査がなく届出も任意、動物実験は未実験。環境影響について、遺伝子組み換え食品は在来種作物との交雑、組み換え作物の野生化など生態系への影響が考えられるが、ゲノム編集も同様である。

    また、ゲノム編集による特定機能の破壊は動物を病的な状態にする。動物の持つ必要な機能を壊して、人が利用したいものを作る。例えば、魚の筋肉を増やさない、抑制する機能を壊すと、一方的に筋肉だけがどんどんついていき、病的な状態となる。動物の場合、こうした機能的特性が植物以上に拡散していくことが懸念される。

    消費者庁「自然の突然変異、突然変異育種と変わらない。科学的検証ができない」

    遺伝子組み換え食品は許可されたもの以外は生産、流通できない。一方、ゲノム編集食品は外来核酸が残存しない場合は、規制対象にならない。届出も任意である。

    遺伝子組み換え食品は安全性の審査や環境影響審査があるが、ゲノム編集食品にはない。また、遺伝子組み換え食品は表示義務がある(食用油、しょう油など検査不能を理由に表示免除)が、ゲノム編集食品にはない。

    日本の遺伝子組み換え食品は表示制度に基づき表示が義務づけられているが、世界でも最低ランクといわれている。遺伝子組み換えは、1980年代初期より行われているが、動物実験で毒性報告が挙がるなど、今なお消費者は日々の摂食でためらいがちだ。

    遺伝子操作された食材、ゲノム編集食品の長期摂食の安全性は未知数である。ゲノム編集食品に表示義務が課せられれば、消費者は遺伝子組み換え食品と同様、拒否反応を示すであろうことは容易に想像がつく。

    ゲノム編集食品についての消費者庁の見解は、「自然の突然変異、突然変異育種と変わらない」「検査ができない(科学的検証ができない)」というものである。

    「届け出も任意、表示もなし、安全性の審査もなし、動物実験もなし」のゲノム編集食品。消費者がこのまま黙って見過ごすことはないであろう。


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