米国・代替医療への道 2004

鬱病対策が急務~米国抗鬱市場 / ノン遺伝子組み換え食品がブーム / 米国で人気のダイエット素材 / 優れたサプリメント研究論文を厳選 / ビタミンに関するネガティブ報告 / オーガニック、「疾病の予防食」に / WHO、代替療法のガイドライン発行 / 癒しの「前世療法」がブームに / アルツハイマー予防の最新報告 / WHO総会、HIV/AIDS予防戦略を採択 / 医療機関も取り入れる「祈りの療法」 / オーガニック・キャンデー市場拡大 / リラックスサプリ、高まる需要 / 米国女性のがん、乳がんがトップ / BSEで揺れるサプリメント業界 / サプリメント戦略プランの改訂版

5人に1人が心の病、リラックスハーブ・サプリメントの需要高まる
アメリカ人の5人に1人が、「気分のふさぎ」「情緒不安」「ストレス」といった 心の病を抱えているといわれる。競争社会アメリカではストレスが高じて鬱症状 になることも少なくない。そこで頼みの綱となるのが、リラックス効果のある ハーブやサプリメント。アメリカ人が頼りにしている「心の癒し」サプリメント を紹介する。

  22.1%が心の病、69%がストレスの予防に関心

米国国立精神衛生研究所(NIMH)によると、年間に18歳以上のアメリカ人のうち 22.1%がメンタル面の不調を感じていると推定される。「鬱症状」に悩む人は 成人人口の9.5%にあたる約1880万人。

「不安」は、パニック症、強迫障害、心的外傷後ストレス障害、恐怖症なども含 め、成人人口の13.3%にあたる約1910万人で、米国不安障害協会(ADAA)によれ ば、心の病のトップを占めている。そして、こういった鬱症状や不安の引き金 ともいわれるストレスに痛めつけられているアメリカ人は実に多い。

ナチュラル・マーケティング研究所(NMI)のヘルス・アンド・ウェルネス・ トレンド・データベースによると、アメリカ人の69%がストレスの予防につい て、52%が鬱の予防について、それぞれ関心を持っているという。

ストレス解消に43.8%がサプリメント服用

鬱病をはじめ心の治療を受ける人が以前に比べ増えている。鬱症状が出てしま った約9000人を対象に行なった調査によると、57%が治療を受けたと回答、 1980年初期の17%を大きく上回った。 鬱病というと抗鬱薬が定番と考えられがちだが、鬱病に限らず、心の病のサポ ーターとしてサプリメントを選ぶアメリカ人は少なくない。NMIが一般消費者を 対象に、メンタルヘルスとサプリメント利用の関係をまとめたデータがある。

それによると、「ストレス解消にサプリメントを服用する」が43.8%、そして、 「ストレス予防に」が39.7%、「鬱病治療に」が42.5%、「鬱病予防に」が 37.7%だった。また、心のサポートとしてよく服用されているサプリメントは ビタミンB群、そしてオメガ3、セントジョーンズ・ウォート、カバ、SAME-eと 続く。

利用頻度の高いサプリメント

野菜やくだものをあまり食べない女性、そして脂肪を摂りすぎの男性にストレス のたまっている人が多い――そんな栄養とストレスの関係を裏付ける研究報告は 少なくない。

バランスのとれた栄養とエクソサイズが心の健康に欠かせないのはいまや常識だ。 そこで、アメリカ人が頼りにするメンタルヘルスに役立つ栄養成分をまとめてみ た。

ビタミンB群

ビタミンB群はいずれも神経の働きを整えるために必須のビタミンだ。中でも、 ビタミンB6、B12、葉酸は、長年にわたる数多くの臨床試験で、鬱症状の緩和 効果が確認されている。NMIによると、ストレスを感じている人の22.8%、鬱 症状のある人の22.6%がビタミンB群を服用しているという。

B群が注目されはじめたのは1970年代にさかのぼる。口径避妊ピルを服用して いる女性に軽度から中程度の鬱症状を訴える人が多いことが分かった。そこで 調べたところ、避妊ピルがビタミンBの吸収になんらかの障害になっていること が判明。以来、ビタミンB群とメンタルヘルスに関する研究が活発になっている。 最近では、ボストンのタフツ大学が、鬱病患者の葉酸レベルが低いことを発見。 葉酸サプリメントを与えたところ症状が改善したという。

また、イギリスのウエストパーク病院は127人の患者を対象に臨床試験を行って いる。その結果、「抗鬱薬のFluoxetineと併用したところ、抗鬱薬の効き目が 高まった」と報告している。

米国老化研究所(NIA)が65歳以上の女性を対象に行った調査は、B12が不足 している女性はそうでない女性に比べ重度の鬱病になるリスクが2倍も高いと 結論づけている。

また、B6については、沈静作用があるGABA(γアミノ酪酸)および気分を高揚 する働きのあるセロトニンを増やす働きが確認されている。

Omega-3's(オメガ3)

メンタルヘスルに効果あり――と、近年、人気上昇中なのが「オメガ3」。NMI によると、ストレスを感じている人の約8.4%、鬱症状のある人の約9.8%が オメガ3を服用しているという。

オメガ3は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、 α―リノレン酸の総称で、このDHAとEPAのメンタルヘルス効果が大きく注目さ れている。ハーバード・メディカルスクールが躁鬱病の患者30人にEPAとDHAを ブレンドしたサプリメントと偽薬を二重盲検法で投与したところ、サプリメント 組の64%に症状の改善が見られたのに対し、偽薬組はわずか19%だった。

DHAだけの効果を期待する研究報告もある。マサチューセツ・ジェネラル・ホス ピタルとハーバード・メディカル・スクールの共同研究で、DHAの摂取量の多い 地域は鬱病の罹患率が低い、と結論。研究報告は「軽度から中程度の鬱症状に 対するDHAの効果をさらに研究する必要がある」と、期待を示している。

St. John's Wort(セント・ジョンズ・ワート)

ここ最近、ネガティブ報道続きのハーブ「セントジョンズウォート」。これ までのような爆発的な人気はないものの、ストレスを感じている人の3.1%、 鬱症状のある人の3.4%は服用しているというから、いまでも鬱解消の定番 サプリメントといえるだろう。

ネガティブ報道にも関わらず、研究は今でも継続され、繰り返し軽度から中 程度の鬱緩和効果が確認されている。確かに人気に陰りがさしているものの、 まだまだ期待のハーブだ。

セントジョンズウォート人気に水を差したのはNIMHの臨床試験だ。試験の結果 は有用性を否定した。実は、この臨床試験では、重度の鬱病患者にセント ジョンズウォートと抗鬱薬を二重盲検法で投与している。その結果、どちらも 効果がなかった。

ところが、なぜか新聞のヘッドラインを飾ったのは「セントジョーズンウォー トに抗鬱効果なし」。この矛盾点を指摘した上で、業界関係者は「もともと 軽い鬱症状の緩和に効果があるハーブ」と強調し汚名挽回をはかろうとして いる。

Kava(カバ)

肝臓に害あり――のネガティブ報道で、カバも人気ハーブの座を一気に追われ た。しかし、いまでもストレスを感じている人の0.8%、鬱症状のある人の1.2% はカバを服用しているという。そして、ここ数年、リラックス効果、そして不安、 不眠を改善する効果のあるハーブ「バレリアン」と併用した、ストレス緩和効果 が注目されている。

SAME-e(サミー)

脳内のセロトニンが不足すると、気分が落ち込むことはよく知られている。 そのセロトニンのほか、ドーパミンなどの脳内物質を増やす働きがあり、抗鬱薬 にみられる副作用がほとんどなく、鬱症状を短期間で改善させると、3年ほど前 から注目されているサプリメントだ。ストレスを感じている人の0.8%、鬱症状 のある人の1.2%がSAME-eを服用しているという。

マグノリア・オフィシナリス、フェロデンドロン・アーニュレンス

新メンタルヘルス商品として期待されているのが、マグノリア・オフィシナリス とフェロデンドロン・アーニュレンスから採った植物エキスをブレンドした、 カリフォルニア州のネクストファーマスーティカル社の「レローラ(RELORA)」。

いずれのハーブも、ストレス、不安、イライラ、緊張感をやわらげる働きがある という。鬱症状のある50人にレローラを二週間投与した臨床試験では、対象の 82%が不安になったり、落ち込んだりすることが少なくなったと答えている。