米国・代替医療への道 2004

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ビタミンに関する最新報告~過剰摂取、総合ビタミンのネガティブ報告など
現在、ビタミンやミネラル、酵素、抗酸化剤、ハーブなど、さまざまなサプリメント が米国市場を賑わしている。消費者は、それらを栄養の源であり、食物の代用になると とりがちだ。だが、そうした見方を疑問視する専門家は多い。健康を維持するものは あくまでも食生活であり、ビタミンやミネラルなどサプリメントは、それを補佐 するものにすぎないとサプリメント信仰に警告を発する。ビタミン、ミネラルにしても、 「良いものも多く摂り過ぎると、かえって悪くなる」ケースや総合ビタミンがほとんど 無益な場合もある。そうしたビタミンの有効性に関する最近の報告を取り上げる。

  脂溶性ビタミンの過剰摂取に注意

ビタミンやミネラルはマイクロニュートリエントと称される。このマイクロニュー トリエントはヒトが自らの体内で生成することが困難で、食品から、またサプリメント から摂取することが必要となる。ビタミンは、組織の成長、消化、認識力、抗感染と いった生物学的プロセスに欠かせない。また炭水化物や脂肪、プロテインといった栄養 素の体内での化学反応のスピードアップの触媒として働く。

世界的に知られる米国の健康・医療機関のMayoクリニックは、最近のビタミン研究の中 で、過剰摂取が問題視されるビタミンを挙げ摂取量に注意するよう呼びかけている。

研究者によれば、ビタミンB、Cなど水溶性ビタミンは過剰に摂取しても尿から排出 されるため害にはならないが、ビタミンE、A、D、Kなど脂溶性ビタミンは組織に蓄積 され、組織にダメージを与える場合がある。ビタミンAは、過剰摂取すると骨粗しょ う症、肝臓異常、抜け毛、神経損傷などを発生する恐れがあるという。

推奨量は男性の場合、1000レチノール当量、女性は800。ビタミンDは、過剰摂取すると高血圧、腎臓 障害、腎結石などを起こす恐れがある。標準用量は200IU。またビタミンEは出血の危険 性があり、男性では10IU、女性は8IUが勧められる。ビタミンKは血栓を発生させる可能 性あり、男性では80マイクログラム以上、女性は65以上になると有害。

鉄の過剰摂取、亜鉛の吸収を妨げる恐れ

以下、ビタミン・ミネラルに関するネガティブ報告を挙げると下記のようになる。

◎ビタミンA
25,000IU(RDAの5倍)以上摂取すると、肝臓障害や脱毛、頭痛などを起 こす恐れ。また、妊婦がビタミンAを摂り過ぎると、出産障害を起こす危険性がある ことも指摘されている。

◎ビタミンB6
1日400mg(RDAの200倍)以上摂取すると、口や手の麻痺、歩行困難など を起こす恐れ。

◎ビタミンC
水溶性のため過剰な量は排出されるので、これといった重大な副作用は 報告されていないが、多量に摂ると胃痛や下痢を起こす恐れ。また、鉄の吸収を増大 させることも指摘されている。

◎ビタミンD
ビタミンDには、カルシウムの吸収を助けるという働きがある。1日 50,000IU(RDAの125倍)を摂取すると、カルシウムの蓄積から心臓など筋肉機能の障 害を招く恐れ。さらに、肝臓や腎臓障害の危険性もあるという。過剰摂取は殆どサプ リメントが原因で起こり、日光浴からのビタミンD摂取では起こらない。

◎ナイアシン
コレステロールを低下させる目的では、医師は通常2,000mg(RDAの100 倍)を処方する。ただし、肝臓障害などの危険性があるため、医師は注意深く見守る 必要がある。命に関わる重大な副作用は報告されていないが、多量に摂取すると目や 鼻、耳、のどが焼けるような刺激が起こる。また、のぼせ、皮膚のかゆみ、悪心、嘔 吐、腹痛、下痢なども起こす。

◎鉄
鉄の過剰摂取は、女性の生理サイクルを狂わせるなどの影響が指摘されるが、そ ればかりでなく、ボディビルダーやスポーツ選手の過労などの原因となる。1日100mg (RDAの6倍)以上摂取すると、亜鉛の吸収を妨げる恐れがある。

その他、アルファリポ酸に過敏な場合、多量に摂取すると皮膚のかゆみ、悪心、嘔吐 などを起こす恐れ。ベータカロチン、ニコチン酸、亜鉛、マンガン、リンもRDA以上 に摂りつづけると、有害な症状を引き起こす。

総合ビタミン、抜き打ち検査で表示と食い違う商品も

米国では総合ビタミン剤はサプリメント部門の中で最も人気が高く、2002年には33億 ドル売り上げている。
だが、最近、総合ビタミン剤製品を調べたConsumerLabによると、ラベルに記載 された成分量と内容量があわないものが発見されているという。また、一部では規定 より多い鉛が含まれる製品も見つかっている。消費者が総合ビタミン剤を購入する際 は、信頼性の高い製品を選ぶべきだと、専門家はアドバイスしている。

ConsumerLabは、女性、男性、高齢者、子ども、一般、妊婦をそれぞれ対象にした総 合ビタミン剤、またペット用サプリメント製品から46製品選び、その内容を吟味し た。この結果、11製品で、内容量と成分表示記載量の違い、品質保証の不良などが確 認された。リキッドタイプのビタミンでは、3製品でビタミンC量が表示より少なかっ たことを確認。高齢者向けのリキッドタイプでは、マンガン量が20%少なく、ビタミ ンA、葉酸も表示量に満たない製品が1つあった。さらに、子供向けガミーベアタイプ の製品に、規定以上の鉛混入が見つかっている。この製品では、ガミーベア2つあた り鉛2.5mcgが混入されていた。

3歳時に総合ビタミン剤を与えられた子ども、食物アレルギーのリスク高まる

この他、最近の総合ビタミン剤に関する報告では、総合ビタミン剤を使用する高齢者は、 インフルエンザワクチンの効力が弱くなるというものもある。65歳以上の高齢者79人を 対象にした研究で、2グループに分けられた被験者はワクチン接種を受けるまでの100日 間、片方に総合ビタミン剤、残りにプラセボを与え比較したところ、ビタミン剤グルー プはプラセボグループに比べ、体内の抗原が減少していたことが分かった。研究者は こうした結果が出た理由として、使用した総合ビタミン剤には、体の免疫システムに 有効性を発揮する微量ミネラルが含まれていなかったことを挙げている。

また、乳幼児期の総合ビタミン剤使用は喘息発症に関与するという研究報告が、 Pediatrics'04/7月号に掲載されている。 Children's National Medical Centerなどの研究では、1991年から母親と乳児を 対象に調べを行った。これによると、乳幼児期での総合ビタミン剤摂取とアフリカ系 アメリカ人の子どもの喘息には関連性が認められ、さらに市販ミルクを授乳している 子どもの食品アレルギーとの関連性が見られるという。また、3歳の時に総合ビタミ ン剤を与えられた子どもの全てが、食物アレルギーの危険性増加につながるとも指摘 している。

一方で、総合ビタミンに関しては、有効性に関する報告も出ている。エイズウィルスの 進行を遅くするという研究報告もある。New England Journal of Medicine'04/7月1日 号によると、ハーバード大学およびタンザニアの研究グループが、1995年HIV感染女性 患者に対する総合ビタミン剤の影響を調べる研究を開始。

被験者1,078人に総合鐚ビン剤、ビタミンAと総合ビタミン剤、ビタミンAのみ、プラセボのどれかを与え、6年 にわたる追跡調査を行ったところ、エイズ発病が見られたのは、総合ビタミン剤グルー プ271人中18人(7%)、プラセボグループは267人中31人(12%)だった。一方、ビタ ミンAのみ、あるいはビタミンA併用グループには目立った相違は見られなかったという。

また、総合ビタミンの利用は中高年の体重増加を遅くするという報告もある。最近の Senior Journal誌に掲載されたもので、シアトルなどの研究グループが、2000年10月 から2002年9月まで、ワシントン州西部に住む50歳から76歳の33万人を対象に調べた 研究、VITALスタディを基に調査。

研究グループが体重増加と14種類のサプリメントと の関連性を調べたところ、総合ビタミン剤、ビタミンB6、ビタミンB12、クロミウムを 摂取しているグループは摂取しないグループに比べ体重減少が見られることが分かった という。とくに、そうした減少は、太りすぎ、あるいは肥満グループで顕著に見られた という。