米国・代替医療への道 2001

増加する若年性アルツハイマー / ホメオパシー療法の最新研究 / 遺伝子組み換え、栄養強化など開発 / 一般食品の機能性食品化に拍車 / ネットビジネス、監視体制強化 / アロマセラピー市場、成長株に / 急伸するオーガニック市場 / 「代替医療」への抵抗勢力 / サプリメント、虚偽広告規制へ / コンプレックス商品、好調な売上げ / 米国代替医療~①ハーブ・サプリ編 / アンチエイジング市場に活路 / ビタミンEなど、有効性が論議の的に / サプリメント、妊娠中摂取の問題点 / 拡大するオーガニック市場 / ビタミンなど1日の標準推薦量報告 / 「ニューエイジ・ドリンク」がブーム

アロマセラピー市場、成長株として期待
1997年前後に大ブレークしたアメリカのダイエタリーサプリメント産業はここ にきて、一時の勢いを失いつつある。伸び率が2桁台だった当時に比べ、現在は 1桁台で推移している。市場の成長鈍化の要因として米国の景気の失速や代替医 療におけるサプリメント利用の際、医薬品との相互作用がマスコミで指摘された ことなどが挙げられるが、それでも、業界関係者は潜在需要の高さを挙げ、 この先まだまだ伸び続けるものと強気を示す。ここ数年、世界的に大きな流通 販路として台頭してきたインターネットでのサプリメントビジネスの最新 動向を報告する。

  ナチュラル・パーソナルケア市場は38億ドル

米国健康関連業界紙の「ニュートリション・ビジネス・ジャーナル」によると、米国 における2000年のナチュラル・パーソナルケア売り上げは38億ドルという。内訳 はスキンケア製品が全体の41%を占め、ヘアケア製品の19%、石鹸など入浴製品 15%、オーラルケア8%、アロマセラピー6%、化粧品5%、デオドラント3%、 その他3%と続く。

販売網では、自然食品店などの専門小売店が売り上げの40%を占めトップ。次いで マルチ商法。急成長株はスパ、エステで前年比14%アップと成長率ではダントツだ。 ちなみに、専門小売店の前年比は10%増とまあまあだが、マルチ商法はわずか1% 増だった。

「コスメスーティカル」コンセプト製品、昨年だけで220以上

ナチュラル・パーソナルケアが注目されはじめたのはここ数年のこと。ビタミンやハ ーブなどのナチュラル素材を配合しセラピー効果もある―そんな新しいコンセプトに、 ナチュラル志向の消費者が飛びついたのはいうまでもない。化粧品(Cosmetic)と 医薬品(Pharmaceutical)を合成した「コスメスーティカル(Cosmeceutical)」 という言葉ができたことからもその人気ぶりがうかがえる。昨年だけでも、220以 上の新製品が続々と登場した。

ただし、市場が新しいだけに、ブランド名が定着していない。メーカーにとっては、 ブランド名をどう確立していくかが今後の課題といえそうだ。また、業界関係者は、 効き目に関する科学的な裏付けやビタミンCなどの定番以外の新成分を配合した商品 の開発などがさらに重要視されていくものと予想している。

肌のダメージ防止で、イチョウエキスが注目

コスメスーティカルの最もホットなカテゴリーはスキンケア製品。中でも「アンタイ ・エージング」といわれる、シワの予防と改善効果のあるスキンケア製品だ。シワ 防止・改善の新アプローチとして注目されているのは、ビタミンC、ビタミンE、ブ ドウの種抽出液、CoQ10などの抗酸化成分。

ほかに、傷ついた角質細胞をはがし肌を 若返らせるというグルコール酸、酸の種類の一つアルファヒドロキシ酸(AHA)、ベ ーターヒドロキシ酸(BHA)なども定番だ。ハーブでは、紫外線による肌のダメージ 防止効果があるとイチョウエキスが注目されているほか、肌の炎症を抑えるカモミー ルもお馴染み。

スキンケア製品のほかには、サッカリンを含まないハーブやエッセンシャルオイル 入り歯磨き粉、グリーンティーや野菜ベースのサンスクリーン、ビタミンEやエッセ ンシャルオイルを成分にしたリップスティック、大豆プロテインなどを使った天然 シャンプーなどが売れている。

アロマセラピー市場~2000年の売上げは2億2000万ドル

スキンケア製品ほど売り上げはないものの、期待の星はというとアロマセラピー。 米国における2000年の売り上げは2億2000万ドルで、ナチュラル・パーソナ ルケア市場の成長株である。というのも、シャンプーやスキンケア製品にもエッセン シャルオイルが配合されているため。一部の香りファンをターゲットにしたニッチ マーケットが、今や堂々とメインストリーム入りしている。

特に、ヘアケアマーケットへの貢献は目をみはるものがある。たとえば、Brainwash シャンプー・コンディショナーを例にあげれば、ココナッツの香りにビタミン、イチ ョウエキスなどのハーブを配合し、マンネリ気味のヘアケア業界に新風を吹き込んだ。 また、芳香市場のアロマセラピーにかける期待も大きい。

ここ最近、成長がほとんど見られない芳香市場だけに、ナチュラル成分への切り替え でヒット商品を狙いたいところ。芳香会社「クエスト・インターナショナル」は最近、 フラワーや自然の素材から抽出した香りのエッセンスを捕らえる新技術「バイオアク ティブ」を開発。今後、こういった新技術の開発で芳香剤も「ケミカル」から「ナチ ュラル」へシフトしていく可能性は大きい。

医療施設でのアロマセラピーの導入が主流に

ここ数年のスパブームもアロマセラピー普及に拍車をかけているといえるだろう。 ブクブク泡の出ているバスタブにつかってストレスを解消してくれるスパ。マーティ ン・エケル・アンド・アソシエーツの調査報告によると、昨年のスパ普及率は前年比 84%増で、スパ設備をもつホテルは前年比52%増。スパとくれば欠かせないのが、 フェイシャルやボディーのマッサージやヘアケア。

そこで、リラックス効果で評判のアロマセラピーの出番が増える。スパとアロマセラピーがセットで普及しているとい う感じだ。「家でも温泉気分を味わいたい」と、ブクブク泡の出るスパより小型の家 庭用バスタブが飛ぶように売れていることから、家庭でもアロマセラピーを楽しむ人 がますます増えていくといえるだろう。

また、全米ホリスティック・アロマセラピー協会(NAHA)によると、これまで亜流 視されていた医療施設でのアロマセラピー導入が主流になりつつあるという。十分な 科学的裏づけはないものの、リラックス効果や痛みの緩和を目的に利用する、産科病 棟やがん病棟が増えている。

こういった普及状況を踏まえ、NAHAは今年中にも、製品の質を証明するラベルを作成 する意向だ。