米国・代替医療への道 1997

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米国代替医療の現状<音楽>療法

  一般病院や学校などで音楽療法が取り入れられている

音楽を使って個人の身体、精神的な健康を向上させるミュージックセラピー(音楽療法)。精神科医はもちろん、一般病院や学校でも広く取り入れている。音楽療法は、音楽への反応を通して、感情抑制、身体機能の向上、社会的適応、コミュニケーションや認知などの能力を高めるといわれている。

利用者のニーズに合わせ個人とグループ療法があり、即興演奏から音楽を使ったイメージ作り、歌詞についてのディスカッション、作詞作曲と、いろいろな方法がある。精神的な疾患、アルツハイマー、脳や身体的は障害を持つ子供から高齢者までと利用者の層は幅広く、出産に使われることもあるという。

必要単位を取得して音楽療法士になる

米国で音楽療法士になるには、公認の音楽療法カリキュラムを持つ全米の大学65校で、実習を含めた必要単位を取得しなければならない。卒業後は、世界音楽療法協会(NAMT)または米国音楽療法協会(AAMT)に登録するか、世界音楽療法理事会の試験にパスすれば活動できる。98年にはNAMTにAAMTが吸収されるという。

プライベートで音楽療法を行うほか、精神病院、リハビリテーション施設、一般病院、外来クリニック、ディケアセンター、老人ホーム、ホスピス、麻薬・アルコール中毒リハビリプログラム、学校とさまざまなところが取り入れている。

たとえば、一般病院では、麻酔や鎮痛剤と併用して痛みの緩和、患者の気分の高揚、手術後のリハビリ、リラクゼーションなどに使われている。

また、老人ホームでは、健康維持や知的好奇心への刺激などに、精神病院で、自己の感情探索、気分転換、感情の抑制、ストレス解消と、用途はじつに幅広い。家族のこともすっかりわからなくなってしまったアルツハイマー患者が、昔なつかしいダンス音楽を聞いて踊りだし、その時だけでも家族と踊りながら心の触れ合いを味わうことができるという。

約5,000人が音楽療法士として登録

最大規模といわれるNAMTの1996年統計によれば、95年にNAMTに登録した療法士は3509人。現在は約五千人を数え、音楽療法に対する関心が確実に高まっていることから、なだらかな上昇カーブを描いている。人種別に登録者を見てみると、92・8%と圧倒的に白人が多く、アジア系2・5%、黒人2・1%と続く。年齢では、30―39歳が34・2%、20―29歳が31・4%、40―49歳が22・1%、性別では女性が90%を占めている。また、地域で見ると、カリフォルニアを筆頭にニューヨーク、テキサス、ペンシルバニアで盛んに行われており、施設では、精神面関連の施設、アルツハイマー患者のための施設での利用が多い。

音楽療法士の年収の平均は、取り組む対象によって異なり、拒食症患者で約3万1千ドル、エイズ患者で約3万ドル、ガン患者で約2万8千ドルと、3万から2万5千ドル当たり。また経験でも収入は異なり、1―5年では約2万4千ドル前後、20年以上のベテランとなると4万2千ドル前後という。