米国・代替医療への道 1997

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0-157でオリゴ糖の人気上昇

  米国では推定で0-157に年間1―2万件感染

病原性大腸菌0-157は、1980年代初期にその存在が認識され、以後集団的に発生。昨年、未処理のアップルジュースから感染したことは記憶に新しい。0-157対策に伴い、近年善玉バクテリア、特に乳酸菌、ビフィズス菌などが0-157など悪玉バクテリアを除去する働きを示すことが指摘、善玉バクテリアへの関心が高まっている。

人の体内には、百兆個ものバクテリアが存在するという。中でも消化器官で良い作用をおよぼすバクテリアは、3ポンド(1・3kg)ほどあるのが理想的といわれる。

だが、現代人は肉の多い食生活、病気になったときの抗生物質などで、その善玉バクテリアをどんどん殺している。善玉バクテリアの代表格は乳酸菌とビフィズス菌。主な働きは、①健康を害する病原菌の侵入と繁殖を抑え、免疫力を高める②腸内の悪玉菌を抑制腐敗を防ぐ③ガン、糖尿病など現代病予防④老化防止――などが挙げられる。

「大腸健康ハンドブック」によると、乳酸桿菌を85%、大腸菌群15%含むのが健康な大腸だという。しかし、抗生物質、経口避妊薬、アスピリン、コルチコステロイドなどの服用や肉類に片寄るという不規則な食生活、ストレスなどで、乳酸菌の割合は低下していく。また、老化も減少に追い撃ちをかけるという。このため、腸内での異常なガス発生、便秘による毒素の蓄積などを起こし、ますます有害物質が増殖する。 また、乳酸菌は、ビタミンB12、B6、Kをといった体のバランスに欠かせない栄養素も作り出すことが分かっている。

平均的米国人の食事は栄養に乏しく、オリゴ糖の需要増が期待

同じく最近の注目株はFOSFructooligosaccharide=オリゴ糖類)。これは善玉バクテリア、ビフィズス菌の餌となり、同菌を増殖させるものとして有望視されている。これは日本で発見されたもので、母乳、トマトガーリックなどの野菜、バナナといった果物に多く含まれる。副作用などは一切なく、低カロリーで虫歯にもならないということから、アジア、ヨーロッパを中心に現在、食品添加物として、乳幼児用の人工ミルク、パン、コーヒーなど500品目以上の食品に加えられている。オリゴ糖自体の働きもビフィズス菌と同様、E-coliやサルモネラ菌などの悪玉バクテリアを抑制することが分かっている。また、コレステロール値を低下させることでも知られている。

おそまきながら米国でもオリゴ糖の存在に目が集まり始めている。オリゴ糖を凝縮させた栄養補助製品NutraFloraFOSをいち早く紹介したGolden Technologyのダグラス・ブラウン取締役は「このように簡単で有益な栄養素が、米国ではなぜ今まで未知の部分にあったのか理解できないくらい」と述べ、「平均的アメリカ人の食事は栄養に貧しいため、今後はこの栄養素への需要がどんどん高まる」と見込んでいる。