米国・代替医療への道 1997

米国健康関連機関・CDC / 米国健康関連機関・NIH / 米国健康関連機関・PAHO / 米国で流行る慢性疲労症候群 / 米国における食中毒対策 / 0-157でオリゴ糖の人気上昇 / 米国で評価高まる日本食 / 急伸するオーガニック市場 / 遺伝子組み換え食品、米国事情 / 米国代替医療<アレクサンダー>療法 / 米国代替医療<蜂毒>療法 / 米国代替医療<色彩>療法 / 米国代替医療<笑い>療法 / 米国代替医療<音楽>療法 / 米国代替医療<祈り>療法 / 人気のハーブ食品、摂取には注意も / 米国で高まるアロマセラピー熱

米国における食中毒対策

  年間で約9,000人が食中毒で死亡、政府は対策に4,320万ドル投入

米国政府は98年会計年度、4,320万ドルを投入した食品衛生のための包括的な防止対策に乗り出すことになった。世界でも食品の安全性の高いことで定評のある米国だが、食中毒の死者は年間、約9,000人を数える。つい最近も、学校給食の冷凍いちごでA型肝炎の集団発生があり、メディアが大々的に取り上げたばかりだ。ゴア副大統領は今年5月、飲食に起因する衛生上の危害を防止するための計画を発表した。

この計画は「Food Safety From Farm to Table(農家から食卓までの食品安全)」と呼ばれ、1月のクリントン大統領の要請で、保健福祉局(HHS)、農務省(USDA)、環境保護局(EPA)の代表が調査報告書を提出、それをもとに概要が作成された。一般への衛生教育を推進するほか、最新の科学技術を用いて、食中毒の犠牲者を劇的に減らしていこうというものだ。

FDA、CDCなど最新テクノロジーを駆使した検査施設設置

食品医薬品局(FDA)は予算のうち850万ドルを投じ、FDA検査官を増員しシーフードの検査を強化する。また、農務省は卵製品に関する防止対策を提案。食品からの検出は難しいといわれているA型肝炎ウイルスなどの病原菌を発見するための新テストの開発に1650万ドルがつぎ込まれることになった。食中毒が発生した際の病原菌検索と対応、そしてさらに発生を防ぐための情報公開を迅速に行えるよう全国的な早期警告体制の確立も重要な課題にあげられている。このため、農務省、FDA、CDCは1370万ドルの予算をかけ、現在、北カリフォルニア、オレゴン、ミネソタ、ジョージア、コナチカットにある5施設を、8施設に増やす。年内にニューヨークとメリーランド、来年にもう1カ所、増設の予定。8施設には、どんな病気でなにが病原体かをすばやく分析し、即座に全米に情報を流せる最新のテクノロジーを導入する。

また、農務省、FDA,CDCは教育局と協力し、「新公民パートナーシッププログラム」を展開。食品業界、生産者、消費者団体、州を対象に食品の安全な取り扱い方について啓蒙していく。農務省とFDAが、予算400万ドルをこのプログラムに当てる。

食中毒による医療費および生産的損失額は65-349億ドル(農務省推定)

非営利の民間団体「農業科学・テクノロジー委員会」の94年食中毒報告によると、米国の食中毒患者は毎年、650万人から3300万人で、うち約9000人が死亡している。農務省の推定では、年間の医療費および生産的損失額は合わせて65億ドルから349億ドルにものぼるという。

米国で食品の安全管理の責任を負っているのは、連邦政府の6エージェント。保健福祉局(HHS)の傘下に、FDAとCDC、農務省の下に食品安全検査サービス(FSIS)、農業リサーチサービス(ARS)、コーポレイティブ・ステート・リサーチ・エジュケーション・エックステンションサービス(CSREES)、そして環境保護局(EPA)だ。これらの局が協力し、食中毒防止対策に当たっている。