米国・代替医療への道 1998

「食」に不安、栄養補助食品に期待かける米国 / 過熱する健康情報メディア、問われる信憑性 / 膨張する米国民医療費、高まる予防医学への期待 / 米国のがん罹患率、1990年から毎年0.7%減少 / 糖尿病人口急増、予備軍含め1,600万人 / 食餌と「キレ」る行動との関連 / 米国・ぜんそくアレルギー患者の実態 / 米国におけるアトピー・アレルギー人口の現状 / ミネラルウオーター人気依然根強い、米国水事情 / ホルムアルデヒドなど、米国で深刻化する室内空気汚染

米国・ぜんそくアレルギー患者の実態

  全米でぜんそくなどのアレルギー患者は4-5千万人

アレルギー American Academy of Allergy Ashtma & Immunology(AAAAI)によると 、全米でぜんそくを含むアレルギー症に悩む人は4―5千万人。慢性疾患の原因の6番目にあげられ、医療費や会社欠勤をはじめアレルギーによる損失額は、数100万ドル以上といわれている。社会の発展とは裏腹に環境汚染が進み、体内に入り込み蓄積された毒素が、アレルギーの引き金となっているとの指摘もある。 

アレルギーとは、ある物質に対して「変わった」「敏感な」働きをするという意味で、じんま疹、気管支ぜんそく、花粉症はアレルギー症の代表であるが、近年、カビによるアレルギー症にも関心が注がれている。ペニシリンにアレルギー反応を起こす人は、カビにも反応しやすいという。かぜの症状に似ており、かぜ薬を飲むことで症状が消えることもあるそうだ。AAAAI傘下にあるNational Allergy Bureau(NAB)によると、屋外にカビの胞子が発生するアレルギーシーズンは、北部で7月から10月、南部と西海岸では年間通してという。土壌、草木、くさった木などに発生したカビが空中に舞ってアレルギー症を引き起こすといわれている。

過去15年間、ぜんそくの罹患率は上昇傾向に

アレルギーの代表選手といわれるぜんそく患者の数は、1,200~1,500万人といわれ、うち子供は500万人近くを数える。過去15年間に、ぜんそくの罹病および死亡率は上昇傾向にあり、特に、アフリカ系、ヒスパニック系の貧困層にその傾向が顕著に見られるようだ。住宅環境の汚染の他、保険に入っていないため医療サービスを受けずらい、自己の健康管理の不十分さなどが大きな要因としてあげられている。

1980年代の10年間に、罹病率は18歳以下で約40%増、死亡率は年齢に関係なく46%増えた。また、0-24歳の死亡率は80年から93年の間に118%も上昇している。ぜんそくによる経済的な損失には目を見張るものがある。90年の推定額は62億ドル。なかでも病欠による生産性低下は10億ドルの損失をもたらしたといわれる。

1日2,000mgからのビタミンC摂取で改善が期待

こういった現状の中、さまざまなアレルギー症の予防または治療法が紹介されている。医薬品ではステロイドの投与などよく知られているが、薬ではなく栄養補助食品ではビタミンCの摂取効果に関心が寄せられている。

ビタミンCの摂取でカビ、ほこり、花粉、食べものによるアレルギーの症状を抑えることができるといわれている。マイルドなアレルギーの場合、1日に約2千ミリグラムまたはそれ以上、重症ならば1日に30から50グラムと大量の摂取が効果をあらわすという。それに加え、ミネラルなども含んだ総合ビタミン剤摂取の重要性も指摘されている。食事の時と寝る前に摂取が望ましという。

気になるのは大量摂取によるビタミンCの副作用だが、1日に2千ミリグラム程度なら副作用の心配はないといわれている。しかし、体内の許容量を上回る量になると、下痢の原因となることもある。アレルギーに対するビタミンCの効果は強調されてはいるものの、あくまでも「医者の診断のかわりにビタミンを服用するのは危険」という忠告付きだ。アレルギー対策としてほかには、ストレス解消、栄養のバランスの取れた食事、運動、カビなどアレルギー元の削除などがあげられている。